story
台湾。鬼月(お盆)の季節。ロロ(リー・ジャーイン)は母(ホン・チーヤン)と二人暮しだ。行事の翌朝、ロロは母の部屋で古い中日辞典にはさんであった写真を見つける。沖縄の海の写真。裏には「花城建郎」とある。多分、父だ。ロロは母が話したがらない父に会ってみたかった。バイト先で友人(ライ・ヤーティン)に相談し、日本語が得意なアーロン(朝井大智)を誘って沖縄へ行くことにする。
母は反対した。自分と娘を捨てて沖縄へ帰ったまま戻らない父を恨んでいたのだ。だからこそ、沖縄へ行って事情を確かめたいとロロは主張。翌朝、サイクリングに行くふりをしてでかけようとするが、母はチケットとお金を用意してくれていた。
二人は飛行機で沖縄へ。自転車を借りて市内を巡り、うるま市から写真に写っていたみらく島へ渡ろうとするが、旧盆中は船がすべて欠航。3日後まで出航しないという。そこへ、島の住民だけを乗せる島船がいたので、ロロは父の名前を出して家族だからと強引に乗せてもらう。
到着したのは旧盆の初日「ウンケー」の日。海辺では祭祀が行われていた。親切なお巡りさんが、ロロたちを花城建郎の家に案内する。そこは廃屋で、割れた陶器が落ちていた。陶芸家だった父は、20年前に交通事故で亡くなったらしい。
船で一緒になったナツ(中村映里子)が自宅に泊めてくれた。みるく荘というペンションだ。ナツの母アカネ(城間やよい)は巫女で、ナツにもその力があった。島では3日間の外出禁止令が出ている。一体、何があるのか? ロロとアーロンはナツと共に、島の不思議な秘密を体験し、大切なことを学んでいく…。
アジコのおすすめポイント:
シングルマザーの家で育った娘が、会ったことのない日本人の父親を訪ねて、お盆の季節に沖縄を旅するファンタジードラマです。沖縄と台湾、距離的にも近く、文化圏としても近いものがありそうです。死者を迎えるお盆の3日間、主人公が訪ねたみらく島では、なんと、本物の死者が帰ってきます。両親や子ども、若くして逝った夫…。『義足のボクサー GENSAN PUNCH』の尚玄さんが素敵な夫婦役で登場します。そして、会いたかったお父さんも。でも、帰ってくるのは会いたい人ばかりではないんですね。兵隊だったり、恨みをもった人だったり…そのために、島は閉鎖され、外出も禁止。巫女さんが大事な役割を担っているのです。こんな不思議な映画を作ったのは、沖縄のこわい話を本にしたりしている岸本司監督。得意ジャンルに台湾との絆を絡め、親子の物語、生と死の物語を日本・台湾合作で作りあげました。主人公を演じるのは、リー・ジャーイン(李佳穎)。日本語が得意なBFを台湾名家の子孫でもある朝井大智が演じています。父親役はもちろん加藤雅也。尚、母親を演じたホン・チーヤンさんは本作が遺作となりました。
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