アジョシ(おじさん/The Man From Nowhere) story
街の片隅の古ぼけたビルで質屋を営み、世間に背を向けるように生きているテシク(ウォンビン)。家族も恋人もなく、質屋の客以外で訪ねて来るのは、隣の部屋に住む少女ソミ(キム・セロン)だけだ。母親(キム・ヒョソ)と二人暮しのソミもまた、いつも一人ぼっちだ。クラブダンサーの母は自分の暮しで手いっぱい。ソミはテシクを「アジョシ=おじさん」と呼び、たった一人の友だちとして慕っていた。
ある日、通りの真ん中でソミが警官に突き出されていた。「娘のカバンを盗もうとした」と女が訴えている。母親の連絡先を教えろと迫られたソミは、通りかかったテシクをパパだと指さすが、テシクは黙って立ち去ってしまう。
その夜、「おじさんも私が恥ずかしくて知らんぷりしたんでしょう?」とソミに責められ、テシクは言葉を失う。ソミはハラハラと涙をこぼしながら「でも嫌いにならない。おじさんまで嫌いになったら、私の好きな人がいなくなっちゃう」と言うのだった。テシクは寂しさに震える小さな肩を見送るしかなかった。
テシクが帰宅すると、店に見知らぬ男たちが待っていた。ソミの母親が、犯罪組織から盗んだ麻薬を隠したバッグを質に入れていたのだ。男たちは麻薬を取り戻すと、ソミと母親を拉致していく。テシクは全速力で車を追いかけるが、「助けて、おじさん」と叫ぶソミの姿は、あっという間に消えてしまった。
「とにかく素早いんだ」「銃にビクともしなかった」組織の男たちはテシクの身のこなしに驚いていた。組織を仕切るマンソク兄弟(キム・ヒウォン、キム・ソンオ)は目障りなオ社長(ソン・ヨンチャン)を陥れる計画を立て、ソミと母親の命と引替えに、テシクに麻薬の運び屋を引き受けさせる。現場を警察へ通報し、オ社長とテシクの二人とも警察に引き渡す筋書きだ。さらに、現場には恐ろしい罠が用意されていた…。
●アジコのおすすめポイント:
『母なる証明』でアイドルから演技派俳優へと成長したウォンビンが、初の本格アクションに挑み、さらなる成長を遂げた注目の作品です。片目を覆った長髪が麗しい前半、敵と対決すべく髪を刈り上げる後半と、ビジュアル面でもファンを魅了しますが、なんといっても、初めてとは思えない見事なアクションを披露。アジアのあらゆる格闘技をベースに、ナイフや銃を使った素早い手の動きや身のこなしで圧倒的に強い男を演じ、アクション・ファンも満足させます。敵の用心棒を演じるタイの俳優タナヨン・ウォンタラクン(『闇の子供たち』)との対決シーンは圧巻。(重要な役を演じる彼もいい!)そして、キム・セロンです。『冬の小鳥』の演技も素晴らしかったですが、本作でも難しい役柄を自然体で演じ、かわいいだけでない女優魂が伺えます。テーマは愛。感動のラストまで一気にご覧ください。
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