ここ数年、映画にドラマにと、話題作への出演が目立っている阿部寛。本作では日本人ヤクザ役で登場し、タイ・マフィアの情婦と恋に落ち、ジージャー演じるゼンの父親となる役を演じます。ジージャーと初共演した印象は?
阿部「撮影が同時進行ではなかったので、一番見たかった彼女のアクションの撮影シーンは見られなかったけど、完成したものを見て、これを撮るのはどれだけ大変だったんだろうと、想像はできました。スタジオに段ボールやベニヤ板のセットが組んであったのですが、スタッフに聞いたところ、ジージャーはそこで3か月前からずっと特訓していたと聞いて、アクションへのこだわりも含めて、それだけ作品に情熱を注げるこのチームの体制にも頭が下がる思いでした」
そんな、こだわりのタイ・アクションに、今回は自らも参加しています。
阿部「ヤクザとしてのソード・アクションのシーンがあり、30人くらいのスタントマンが一斉に僕に向かってくるというシーンでした。その30人全て、レベルが高いんです。僕がよろけたりすると、見えないように支えてくれたり、知らないうちに助けられた。そして、できたものは、僕のアクションをはるかに超えていました。監督の力ももちろんですが、スタントマンのレベルの高さも加わって、あのアクションシーンができていると思いましたね。日本にもレベルの高いスタントマンはもちろんいますが、30人全員がレベルが高いのにはびっくりした」
そして、やはり怪我も体験したそうです。
阿部「今や幻となってしまった殺陣シーンなんですが、もともとは刀を使わず、オランダ、韓国のキック・ボクシングの選手と、タイのムエタイ・チャンピオン3人にボコボコに殴られるというシーンが当初あったんです。その撮影は3日間あったんですが、オランダの女子プロ選手のパンチがまともに2発当たってしまい…。監督は映像がないと言っていますが、2発とも本番テイクだったので、残ってると思いますよ(笑)。それは、ぜひDVDで(笑)。
刀のアクションでは日本人としてのアドバイスも。
左手に抱いている恋人ジン(ゼンの母親)を演じる人気歌手
ノム・アマラー・シリポンの熱演も見逃せません。
|
そのまま撮影は続行して、最後まで撮りきったんですが、1年半後にやっぱりソード・アクションで行きたいと監督に言われ、再びタイへ行きました。やはり日本人だから刀、というところに監督はこだわられたのだと思います。1年半後に撮り直しと聞いた時、アクションシーン、そして映画へのこだわりを感じて、僕は逆に嬉しかったです。
実際に現場を見ていると、ラストのメイキングにあるように、怪我人とかも出てるんですよ。特に最後のシーン、ジージャーがビルの上で戦うシーンは圧巻だと思います。CGでごまかせるのに、それを使わないでやっている。主演の少女に生でアクションをやらせている。その監督のリアル・ファイトへのこだわり、そのリアリティが感動です」
そんなこだわりのアクション・シーンですが、日本人としてのアドバイスも忘れませんでした。
阿部「刀のアクションということで、日本人の僕の意見も聞かれました。時代劇っぽい形なのか、それともヤクザのイメージなのか、と聞いたところ、後者だというので今回のような形になったんです。やっぱり外国の映画だと、日本文化に対する誤解などが多々あるので、そこはできる限りお手伝いさせてもらいました」
そんな阿部寛が気に入っているシーンは?
阿部「最初に僕の役であるヤクザが登場するシーンです。外国映画っぽい空気感というか、ハードボイルドな背景というか、なかなか日本では見たことがない映像の風合いなので、気に入ってます。全体的に好きなんですけれどね」
尚、『チョコレート・ファイター』日本公開版では、監督の希望により、冒頭で日本人ヤクザ・マサシの生い立ちを語るナレーション部分を阿部寛本人が吹き替えています。ファンの皆さんは、そこもお楽しみに。(監督インタビューへ)
(c)2008 sahamongkolfilm international
続きを読む ▼舞台挨拶&イベント ジージャー > 阿部寛 > 監督 ▼作品紹介
|