●アクションをつける時のお二人の魅力はどこでしょう?
ドニー「ウー・ジンはもともと武術に長けています。サモ・ハンさんは私にとっては大先輩で、これまでにも香港映画の数々の名作に出演なさっています。今回、お二人を演出する上での最大のポイントは、いかに斬新さを引き出すかということ。中でも一番難しかったのは、サモ・ハンさんの演出でした。大先輩ですから、これまでのイメージを活かしながら、私自身の持ち味も組み入れてアクションを作っていきたいと思いました。そこで、サモ・ハンさんの出演作をたくさん観て、そこからもヒントを得ました」
●そのアクションについて、お二人はいかがでしたか?
サモ・ハン「ドニーとはかなり前からの知り合いですし、ウージンも数年前から知っています。なので、今回『SPL』で共演できたことはうれしかった。自分が出演した作品はどれも大切ですし、丁寧に撮っています。映画の中では、監督やスタッフから学ぶこともあります。よく周りから大先輩とか師匠(マスター)とか言われますが、自分はいつも謙虚な心やわくわくする気持ちを忘れないようにして、若い人たちの素晴らしさを学ぶつもりで現場に臨んできました。二人とは初めの共演ですが、『SPL』が素晴らしい作品に仕上がってほんとうによかった。自分としては、これからも若い人たちと仕事をして、若い力を吸収しながら、自分も若返っていきたいと思っています」
ウー・ジン「私は子どもの頃から、サモ・ハンさんやドニーさんの映画を観て育ちました。友だちとの喧嘩で、お二人の技を真似して鼻の骨を折ったこともあります(笑)。今回はお二人と共演できて素晴らしい経験になりました。吸収できるところはスポンジのようにたくさん吸収し、今後の自分の演技に活かしていきたいと思います。ドニーさんとの対決シーンの演出には、音楽のようなリズムがありました。サモ・ハンさんとの対決シーンはなかったので、それだけが残念です」
●タイ映画『マッハ!』の影響があったと聞いてますが、日本の映画はいかがですか?
ドニー「『マッハ!』はたしかに世界的にも大ヒットした作品です。中国の映画人としては、外国の映画人と競走関係を作り、映画産業に貢献していきたいと強く思っています。日本映画にもアクション映画や素晴らしいアクション俳優の方がたくさんいますが、今まで共演したことのない方と仕事をしてみたいです。ご縁があれば、いつか必ず共演できる機会があると信じています」
●もう30年くらいアクション映画をやっていらっしゃいますが、今回の体の動きはどうでしたか?
サモ・ハン「これまでの作品と『SPL』とでは、自分の動きの数でいうとあまり変わらなかったと思います。以前の作品には、ジャッキー(ジャッキー・チェン)やユン・ピョウが闘うシーンもたくさんあるので、アクションシーンの割合としては同じくらいです。ドニーはとても思いやりがあるので、あまり大変なシーンは撮らせてくれませんでしたが」
ドニー「私じゃなくて、サモ・ハンさんに思いやりがあるんです。でなきゃ、私は今頃病院にいるはずです(笑)」(場内笑)
●今回、初めて悪役をやられた感想は?
サモ・ハン「私は長年俳優をやってきましたし、監督もやってきました。自分でシナリオも書いてきました。いつも思っているのは、重要なのは演じるのが善玉か悪玉かではなく、映画が面白いかどうか、人の心に迫るものがあるかどうか。それが一番大切です。善玉をやっても、すぐに忘れられてしまうようなキャラクターでは意味がない。今回は悪役をやりましたが、自分の演技を磨くという面でとてもいい経験になりました」
花束贈呈で登場した釈由美子と共に。
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質議応答はここで終了。
続いて、かつて『修羅雪姫』でドニーにアクション指導を受けた女優の釈由美子が登場し、3人に花束を贈呈しました。司会者の質問を受けて、ドニーが来日した時は食事やデートをしていると話すと「秘密をばらさないで(笑)」とドニー。撮影時のエピソードや3人への印象を披露しました。
奇しくも『SPL/狼よ静かに死ね』、『SPIRIT』、『THE MYTH/ 神話』と、マーシャルアーツ界を代表する5人の主演作が、同時に公開されているこの時期。それぞれの作品を見比べて、その持ち味の違いを堪能してみるのもいいかもしれません。
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