ラクサビーフン工場潜入記。
2004年11月1日
美食の国、シンガポール名物の食べ物は沢山ありますが、ラクサもそのひとつではないでしょうか。
ラクサとは太目のビーフンをココナツ・ミルクたっぷりのカレー汁といただく、シンガポールのカレーうどんのようなもの。シンガポールではラクサといえばこのスタイルですが、マレーシアの方に北上すると「カレーラクサ」と呼ばれ、麺は卵入りの黄色い中華麺、ペナンあたりの魚のスープベースで、酸っぱ辛い「アサムラクサ」と区別されているようです。
また、中国南方の食文化では小麦粉を使った麺よりも、米から出来たビーフン、幅広麺のクエティァオなどの麺の方が、東南アジアではポピュラーなようです。シンガポールで、このラクサ用ビーフンを製造販売している、再春食品私営有限公司を取材しました。シンガポールでは、一日のラクサビーフンの消費量がおよそ70〜80トン。その約6〜7割が再春で製造されており、主に業務用ラクサビーフン製造の大手です。
製造には日本米とは違うインディカ米などの長粒米を粉砕し、冷水に3時間浸水させた後スターチと混ぜて餅状にします。これをラクサビーフンなら一回、乾燥ビーフンなら二回撹拌した後に製麺し、蒸します。その後、ラクサビーフンは熱湯で茹で、冷水につけて覚ましてから包装、殺菌して出荷されます。一方乾燥ビーフンは蒸した後、丸一日乾燥させ、翌日洗浄し、水につけて一回戻した後にオーブンで乾燥させ、包装・出荷と、実は製造に手がかかっています。生めんの状態で出荷されるラクサビーフンはスープとよく合いますし、一旦乾燥させた「粗米粉」は水で戻して炒め物としてよく使われます。
再春では他にも、シンガポール国内の各スーパーで家庭用各種ビーフン(玄米ビーフンという変り種も!)などを販売しています。そして現在、家庭でも簡単に作れる調味料付即席麺スタイルのビーフンを数々開発中。先頃開催された、アジア・パシフィック国際食品展で初お目見えした「シンガポールスタイル・ミーシャムセット」は地元新聞に紹介されたこともあって大きな反響を得ました。低カロリーのビーフンと化学調味料不使用のスープは、健康に気を遣う現代人にはぴったりです。
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