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イラン代表の女子柔道選手レイラ・ホセイニ(アリエンヌ・マンディ)と監督のマルヤム・ガンバリ(ザーラ・アミール)は、イラン初の金メダルを目指して世界柔道選手権に挑む。場所はジョージアの首都トビリシ。
イスラム女性が着用するヒジャブで頭を覆ったまま、レイラは60kg級のノックアウト方式のトーナメント戦に出場。テヘランでは、夫のナデル(アッシュ・ゴルデー)や幼い息子のアミルが友人の家に集まり、テレビの前でレイラを応援している。
レイラが戦うのは第1試合場。第2試合場には旧知の仲であるイスラエルの代表選手、シャニ・ラヴィ(リル・カッツ)がいた。良きライバルであるラヴィと戦うことができるとすれば、それは決勝戦だ。
今日のレイラは絶好調で、初戦から得意の内股でハンガリー代表の強豪選手を投げ飛ばし、次の試合でも会心の一本勝ちを決めた。だが3回戦が始まろうとしていた時、マルヤムの携帯に柔道協会のタヘリ会長から電話が入る。「レイラ・ホセイニ選手を棄権させて欲しい」
このままレイラが勝ち進めば決勝でイスラエルのラヴィ選手と戦う可能性が出てくる。しかしイランとイスラエルを同等の立場で組ませるわけにはいかない。これは政府からの強制的なボイコット命令だった。
マルヤムも元イラン代表選手だが、ソウル大会で優勝を目前に同じ命令を受け途中棄権。そのまま現役を引退した苦い過去を持っていた。最初は憤りを隠せぬマルヤムだったが親に危険が迫り、レイラに政府の命令に従うように説得する。
しかしレイラは納得できない。覚悟はできていた。レイラは夫に電話して、息子を連れて密かに国外へ脱出するよう頼む。試合が続く中、彼女の異変に気づいた世界柔道協会のステイシー・トラヴィス(ジェレミー・レイ・ニューマン)は、サポートを申し出る…。
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