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ソウルの春

ソウルの春(ソウルの春/12.12:The Day)

監督:キム・ソンス
脚本:ホン・インピョ、ホン・ウォンチャン、イ・ヨンジュン、
   キム・ソンス
撮影:イ・モゲ
照明:イ・ソンファン
編集:キム・サンボム
美術:チャン・グンヨン
衣装:クァク・ジョンエ
音楽:イ・ジェジン
出演:ファン・ジョンミン、チョン・ウソン、イ・ソンミン、パク・ヘジュン、キム・ソンギュン、キム・ウィソン、チョン・ドンファン、アン・ネサン、ユ・ソンジェ、チェ・ビョンモ、パク・フン、キム・ソンオ、チョン・マンシク、チョン・ヘイン、イ・ジュニョク

2023年/韓国
日本公開日:2024年8月23日
カラー/シネマスコープ/5.1ch/147分
字幕:福留友子
字幕監修:秋月望
配給:クロックワークス
©2023 Plus M Entertainment & Hive Media Corp.
2024年 百想芸術大賞
 作品賞/男優演技賞(ファン・ジョンミン)
2024年 アジアン・フィルム・アワード
 助演男優賞(パク・ヘジュン)/編集賞(キム・サンボム)
2024年 ディレクターズ・カット・アワード
 年度監督賞(キム・ソンス)
 年度脚本賞(ホン・インピョ、ホン・ウォンチャン、
       イ・ヨンジュン、キム・ソンス)

poster

story

 1979年10月26日、独裁者と言われた大統領が側近に暗殺される。陸軍本部では陸軍大将チョン・サンホ(イ・ソンミン)が戒厳司令官となり、保安司令官のチョン・ドゥグァン(ファン・ジョンミン)が合同捜査本部長に任命される。やっと長年の独裁政治が終わって民主化への期待も高まり、この時期は「ソウルの春」と呼ばれた。

 ところが、チョン・ドゥグァンは軍内の一大派閥ハナ会のリーダー。立場を利用して、次第に政治介入するようになっていく。陸軍参謀総長でもあるチョン・サンホはそのことを危惧し、政治への欲がなく清廉な真の軍人イ・テシン(チョン・ウソン)を首都警備司令官に任命する。

 チョン・ドゥグァンは大統領府の金庫にあった金を独断で分配し、チョン・サンホへも賄賂を匂わせて怒りを買う。チョン・サンホは来期に保安部を解散させてはどうかと、権限のある国防長官(キム・ウィソン)に尋ねるが、すでに賄賂をもらっていた彼は言葉を濁す。ハナ会派左遷の情報は、ノ・テゴン(パク・ヘジュン)少将からチョン・ドゥグァンに伝わった。

 12月9日、チョン・ドゥグァンの家でハナ会の秘密会合が開かれる。彼は邪魔なチョン・サンホを大統領暗殺の共謀者に仕立て、逮捕。同時に新大統領に就任したチェ・ハンギュ(チョン・ドンファン)に逮捕の許可を取り付け、クーデターを起こそうとしていた。決行は12月12日の夜。

 当日、チョン・ドゥグァンは料亭で宴会を開き、イ・テシン首都警備司令官やコン・スヒョク陸軍特殊戦司令官(チョン・マンシク)ら主要な3人を招待。足留めしている間に、自分たちは大統領府へ、逮捕組は参謀総長公邸へ向かう。

 ところが、逮捕組と警護兵の間で銃撃戦が起こり、チョン・サンホは拉致されてしまう。一方、不信感を持つ大統領は国防長官の許可がないと裁可できないと要望を突っぱねる。主役が現れない宴会を怪しみ帰ろうとするイ・テシンたちにも銃撃戦の知らせが入った。

 状況を察した彼は一番近くにいる海兵隊を招集。チョン・ドゥグァンの逮捕命令を出す。かくして、前線の兵たちをも巻き込む攻防戦が始まった…。


アジコのおすすめポイント:

1979年10月、独裁政権のパク・チョンヒ大統領が暗殺された後、民主化への機運が高まった「ソウルの春」を一夜にして覆した「12.12粛軍クーデター」を初めて映画化した作品です。監督は当時19歳だったキム・ソンス(『アシュラ』『 FLU 運命の36時間』)。あの時に感じた憤りを描くことで、当時自分と同じ気持ちを体験した人や、当時のことを何も知らない今の若者たちにも興味を持ってもらいたいと、あの時一体何が起こっていたのかをわかりやすく見せてくれます。脚本を企画したのは『KCIA 南山の部長たち』で大統領暗殺の裏側を映画化したハイブメディアコープ。事件の大枠は事実に沿って構成され、登場人物も大半はモデルとなった人物がいますが、キャラクター設定などの細かい部分に創作を加えることで、反乱軍と鎮圧軍の対立と攻防戦をスリリングに描いています。主演は『アシュラ』でも共演した演技派のファン・ジョンミンとチョン・ウソン。そのほか、豪華キャスト陣がそれぞれにハマリ役で登場。善と悪の戦いが一進一退で描かれ、最後まで緊張感が持続します。普通の映画なら、どこかで正義の男チョン・ウソンが逆転するはずなのだけど…悲しいかな、これは結果の決まっている歴史のお話。いかにして、再び独裁政権が誕生したのか、おりしも日本やアメリカで選挙戦の今、より身近に興味深くご覧いただけることでしょう。韓国では1300万人以上の観客動員数を記録。歴代級のメガヒットとなっています。

最後に、韓国の政治の歴史がよくわかる作品群を時系列にご紹介しておきますので、順に観ていくと当時のことがよりわかります。興味のある方はぜひ参考にしてください。
『大統領の理髪師』(2004):4月革命を経て、パク・チョンヒ政権誕生から崩壊までを市民の視点から描く
『キングメーカー 大統領を作った男』(2021):若き日のキム・デジュンと選挙参謀になった男との出会いと別れ
『ユゴ 大統領有故』(2005):パク・チョンヒ暗殺事件をブラックコメディタッチで描く
『KCIA 南山の部長たち』(2019):パク・チョンヒ暗殺事件までの裏側を多角的に描く
・『ソウルの春』(2023):12.12粛軍クーデター、チョン・ドファン独裁政権誕生からノ・テウの時代へ
『光州5・18』(2007):光州事件の全貌とチョン・ドファンの軍事弾圧
『タクシー運転手 約束は海を越えて』(2018):チョン・ドファンのクーデターから光州事件へ
『ハント』(2022):1987年、軍事政権に反対デモが全国で頻発していた時代のフィクション
『1987、ある闘いの真実』(2017):2つの事件をきっかけに、大統領が直接選挙で選ばれる時代になるまで

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