流星(流星語/The Kid)
story
世界的な金融恐慌で多額の損失を出し、証券アナリストのウェイ(レスリー・チャン)は信用と財産、そして恋人も失い失職する。自家用クルーザーに戻った彼は、やけ酒をあおって眠り込んだ。そして、赤ん坊の泣き声で目を覚ます。ソファの上には赤ん坊とベビー用品の包みが置いてあった。
抱きかかえると「裕福な人に拾われて…」と母親からの手紙が入っていた。捨て子だ。困ったウェイは、外に出て桟橋の上に赤ん坊と包みを置き「金持ちに拾われろよ」と立ち去る。クルーザーで一眠りして起きると、外では激しく雨が降っていた。ウェイは慌てて赤ん坊を助けに戻り、病院へ駆け込んだ。
4年後、ウェイは4歳になったミン(エリクソン・イップ)と養老院の屋上で暮らしていた。バイトや便利屋でしのぐ日々。周りの人たちと助け合う生活は、貧しくとも幸せだ。経営者で家主のラン(キャリーン・ン)は建物を改装して、新たに託児所を作ろうとしていた。見廻り担当のロン巡査(ティ・ロン)は、そんなランを密かに慕い、なにかと気遣っていた。
その頃、上海から香港に戻ったリャン夫人(キキ)が基金を作り、助成先を公募していた。しかし彼女にはトラウマがあり、子どもに近寄ることができない。かつて赤ん坊を捨てた記憶が彼女を苦しめていた。4年前、ミンを捨てたのはリャンだったのだ。ところがそれとは知らず、偶然にヨットハーバーで怪我をしたミンを手当てしたことから、リャンはミンと親しくなる。ウェイとも知り合い、誘われて海辺で遊ぶ3人。夜には一緒に流星を眺めた。
ウェイに嬉しい知らせが2つ届く。ランさんの託児所の企画が認められ、助成金が貰えることになったのだ。そして、もう1通。それはグリニッジ天文台からの仕事の紹介だった。だが、単身赴任が条件だ。一方で、為替ビジネスで成功した元部下のサム(ラム・カートン)からも誘われていた。
ミンとは離れたくないし、昔の多忙なビジネス現場に戻るのも抵抗がある。悩むウェイに、さらなる難題がふりかかる…。
アジコのおすすめポイント:
エリートから転落した男が偶然、赤ちゃんを育てることになり、親子の絆と将来で悩みながらも、一歩踏み出していく物語です。主演のレスリー・チャン没後20周年特別上映で、『欲望の翼』デジタルリマスター版と共にめでたく上映されました。監督は『籠民』(92年)『墨攻』(06年)のジェイコブ・チャン。1998年当時、香港がアジア金融危機の影響を受け、映画製作が困難な時期に、香港の映画監督や役者たちが無償で製作をサポートした「創意連盟」プロジェクトの第一弾。レスリーもノーギャラで出演し、製作にも関わっています。
ミンの母親を演じているのは、スーパーモデルでサイモン・ヤムの奥様でもあるキキ(発音はチーチー)。その他、キャリーン・ンやティ・ロン、アマンダ・リー、ジョン・タン、ラム・カートンらが若かりし頃の姿で登場。カメオ出演も豪華で、精神医が作詞家のヨランド・チャン、郵便屋さんが映画監督のジョー・チョン、トラック運転手がアクション監督のトン・ワイ。さらに、ダンテ・ラム監督(お巡りさん)も出演しています。
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