僕と彼女のファースト・ハグ
(温暖的抱抱/Warm Hug)
story
毎朝8時15分に目覚め、分刻みの規則正しい生活を続けているバオバオ(チャン・ユエン)はピアノ教師。整理整頓、清潔をモットーとする彼は極度の潔癖症のまま27歳となり、その性格が禍して生徒が定着しない。教師仲間にもけむたがられ、孤独な日々を過ごしていた。なにより、こんな自分では恋愛もできない。抱きしめることができないのだから。
バオバオは自殺を決意し、葬儀社を予約。霊柩車まで手配して、決まった時刻に音楽学校のある楽器城の屋上から飛び降りようとしていた。しかし、その彼を怪力で引き戻した女性がいた。ギターを背負ったシンガーソングライターのウィエヌアン(リー・チン)だ。
それは数日前のこと。バオバオはバイク事故に巻き込まれてウェイヌアンと出会い、彼女にIDカードを盗られてしまう。カードがなければ出勤できず自殺もできない。彼女を追いかけた先は、オリジナル曲バトルの会場だった。人気スターのワン・ウェイレン(チャオ・シュン)が審査員を務めるバトルに、ウェイヌアンはある目的を持って出場していた。
ギターの弾き語りで歌い始めたウェイヌアンは緊張していた。そこへ、バオバオが「IDを返せ!」と乱入。掛け合いとなり、ウェイヌアンは歌で応酬。これが演出と間違われて大ウケし、ネット投票で1位を獲得。準決勝へ進めることになり、彼女にはバオバオが絶対に必要だったのだ。今やバオバオは人気者でファンもたくさんできていた。
ウェイヌアンはコンビ名を「起死回生」にし、時間通りにやってきた霊柩車で送ってもらう。運転手(ウェイ・シャン)の家族も二人のファンだったのだ。彼や精神科医のジア先生(シェン・トン)らの応援で、対照的な二人はバトルを勝ち抜いていくのだが…。
アジコのおすすめポイント:
超潔癖症の男性が生活にだらしないシンガーソングライターの女性と知り合い、オリジナルソング・バトルに挑戦。親しくなるにつれて病気を克服し、憧れのハグが実現するまでのドタバタを描いたミュージック・ラブコメディです。冒頭、主人公の髪型から同じく潔癖症の男女を描いた台湾映画『恋の病 〜潔癖なふたりのビフォーアフター〜』のチェン・ボーチンを連想するのですが、こちらはピアニスト。彼を演じているのが、本作の監督であり、脚本も手がけた人気コメディアンのチャン・ユアン本人です。チョン・ジェヨンとハン・ジミンが主演した2014年の韓国映画『プランマン〜恋のアラームが止まらない!』を大胆にアレンジし、ハートウォーミングかつ泣ける作品に仕上げています。相手役をキュートに演じているのは、人気女優のリー・チン。主人公はなぜ、人に触れないのか。潔癖症の両親の元に生まれた主人公の幼少期のエピソードからは、親子のスキンシップの大切さが伝わってきます。街並みの描き方や二人の部屋の造形など、台湾映画を彷彿とさせるポップさで、ファンタジー色強し。真っ白だった主人公の服も徐々に色がつき、決勝では髪型が変わってカッコよくなってますので、ご注目を。赤と白のハグ人形も欲しくなっちゃいますよ。
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