連鎖(石ころ/Stone Skipping)
story
のどかなヒュチュン村の朝。ソック(キム・デミョン)はいつものように目覚め、生みたての卵を集め、卵焼きを食べる。自転車に乗り、ヒュチュン村民会館に残りの卵を届けた後は、バス停で子どもたちと遊ぶ。スクールバスが出た後は、自転車で大きな池へ行き、池のほとりで石ころを拾って水切りをして遊ぶ。それが彼の日課だ。
ソックは両親を亡くし、一人で暮している。身体は30代の大人だが、知的障害があり知能は8歳くらい。そんなソックを村の人たちは暖かく見守っている。スーパーの試食は食べ放題。自宅は精米所で、精米の機械を動かすことはできる。勘定はきちんと覚えており、ごまかされることはなかった。
ある夜、悪友たちがソックをカラオケに誘い、ホステスに触られて初めて射精を経験。驚いたソックを「お前も男になったのか」となだめたのは、彼を庇護している教会の神父(キム・ウィソン)だった。
その頃、ソウルからバスでやってきた少女がいた。14歳のウンジ(チョン・チェウン)だ。彼女は父親を探す目的で家を出て、エステル青少年シェルターを訪ねる。キム先生(ソン・ユナ)が迎え入れるが、ウンジは反抗的だった。そんなある日、池の周りで「魚粥祭り」が行われ、スリ事件が発生。素行のわるいウンジが疑われるが、ソックは真犯人を見ていた。
この事件がきっかけで、ウンジは純粋なソックに心を開き二人は仲良しになる。キム先生は心配するが、ソックの人柄をよく知る神父は二人を見守るように促す。しかし、雨の夜に思いがけない事件が起こり…。
アジコのおすすめポイント:
知的障害を持つ純朴な青年が孤独な少女と知り合い仲良くなりますが、偏見と誤解から犯罪者にされてしまい、釈放後も拡散する偏見の眼にさらされていく悲劇を描いた問題作です。唯一、彼を守り信頼していたはずの神父は、自分の信頼が純粋でなかったことを恥じて辞職してしまいます。では、真実に気づいた原告はどうなのか? なんで、被害者に事実を確かめないのか?…と、もやもやが残ってしまうものの、誰かが彼を救ってくれることを祈らずにはいられません。一方で、彼自身をよく知らない人にとっては、実際にこのような事件が起こった時にどんな反応をするだろうか?という疑問も湧いてきます。「偏見と信頼」をテーマに脚本を書いたのはキム・ジョンシク監督。本作が初の長編デビュー作となりました。主演のキム・デミョンをはじめ、神父役のキム・ウィソク、施設長のソン・ユナらは脚本に惚れ込んで出演を快諾。少女役のチョン・チェウンはこれが映画デビュー作ですが、堂々とした演技で今後の活躍が期待できそうです。
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