チィファの手紙(イ尓好、之華/Last Letter)
story
姉のチィナンが死んだ。自殺だった。葬儀はひっそりと行われた。チィファ(ジョウ・シュン)の娘サーラン(チャン・ツィフォン)は、チィナンの娘ムームー(ダン・アンシー)の心情を心配し、冬休みの間だけ祖父母の家でムームーと過ごすことにする。そして、ムームーの弟チェンチェン(フー・チャンリン)は、チィファの家で冬休みを過ごすことになった。
チィナンは子どもたちに手紙を残していたが、ムームーにはまだその手紙を読む勇気がなかった。一方、チィナン宛に同窓会の通知が届いていた。チィファはチィナンが亡くなったことを伝えるため、同窓会に出席するが、チィナンと間違えられスピーチまでするはめに。そこには、かつてチィファが憧れていたイン・チャン(チン・ハオ)も来ていた。
チィファはチィナンのふりをしたまま途中で帰り、チャンが追いかけてきた。連絡先を交換して別れるが、チャンが送ったメッセージをチィファの夫ウェンタオ(ドゥー・ジアン)が見て激昂。チィファのスマホは破壊されてしまう。届いたメッセージが気になるチィファは、チィナンのふりをして住所を明かさずチャン宛に一方通行の手紙を送る。
チャンはかつて恋していたチィナンをモデルにした小説で小さな文学賞を受賞していた。だが、その後は低迷。チィナンのことが今も忘れられず、何も書けないでいた。チャンはチィファがチィナンでないことを見抜いていたが、送られて来る不思議な手紙を楽しみ、チィナンの実家宛に返事を投函。それを読んだサーランとムームーが、チィナンのふりをして返事を書いてしまう。
驚いたチャンは、かつて住んでいた街を訪れる。そこには中学生時代の恋の思い出があった。転校生のチャン(ビアン・ティエンヤン)は学校一の美少女チィナン(ダン・アンシー二役)に一目惚れし、妹と親しかったチィファ(チャン・ツィフォン二役)にラブレターを託していたのだ…。
アジコのおすすめポイント:
アジアでも人気の高い岩井俊二監督が、名作『ラブレター』を彷彿とさせるような、手紙にまつわるロマンチックな物語を作り上げました。きっかけは、ペ・ドゥナを主演にした韓国での短編映画『チャンオクの手紙』(2017)。そこから長編小説が生まれ、さらに韓国、中国、日本で3つの映画を作るべく始動した中国編が本作です。中国の映画館でも上映できる「中国映画」を撮りたいと思った監督を強力にサポートしたのは、盟友でもあるピーター・チャン監督。万全のチームと豪華なキャスティングが用意されました。また、脚本のローカライズを丹念に行い、日本とは違う中国での1988年(主人公たちの中学生時代)を再現。弟の設定も小説や日本編とは違っており、終盤の夜間長回しという岩井作品には新たな境地が生まれたのでした。同じストーリーでありながらも、まったく違うテイストを持つもうひとつの『ラストレター』を、ぜひ味わってください。
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