バオバオ フツウの家族
(Bao Bao/親愛的卵男日記)
story
傷心のシンディ(エミー・レイズ)はロンドンから逃げるように台北へ到着する。妊娠中の彼女は動揺して携帯も機内に忘れていた。荷物も手違いで到着が遅れている。実家で一人暮らす父親(チュウ・ヨンダー)は厳格で折り合いが悪かった。行くアテのないシンディは、タクシーで幼馴染のタイ(ヤン・ズーイー)が働く警察署へ彼を訪ねて行く。
恋人のジョアン(クー・ファンルー)も後を追うように台北へ到着する。だが、電話は繋がらない。シンディは誤解しているのだ。チャールズ(蔭山征彦)が勝手にジョアンの上着のポケットに忍ばせた小切手を見てしまったのだ。それは、シンディのお腹に宿った赤ちゃんを、チャールズたちが引き取ることを意味していた。
ロンドンで暮らす画家のシンディは、偶然ジョアンと出会い意気投合する。二人は結婚して新居を構えようとしていた。永住権を得るまで後1年のジョアンはやり手のビジネスウーマン。仕事仲間のチャールズの恋人で、植物学者のティム(ダニエル・ツァイ)が夏休みにロンドンへ遊びに来る機会に、ジョアンはシンディに二人を紹介。共に家庭を持ちたいカップルたちは、共同して妊活に励むことにする。
自分たちではうまくいかず、結局、専門クリニックで体外受精を試み成功する。しかし、双子を授かるが一人は流産で流れてしまう。ティムの母親(スー・ミンミン)は孫を欲しがっていた。赤ちゃんができれば、自分たちの関係を認めてもらえる。チャールズは必死の思いで提案するが、ジョアンは約束通りにしようと断っていたのだ。
幼い頃からシンディに思いを寄せていたタイは、何も聞かずに彼女を歓迎する。シンディはしばらくタイの部屋に厄介になり、タイはその生活を密かに喜んでいたのだが…。
アジコのおすすめポイント:
時代を反映するように、様々なLGBT映画が公開されていますが、妊活をテーマにした作品は初めてでしょう。赤ちゃんが欲しいという単純な理由で始めたことであっても、結局は命を預かることであり、父になり母になることの意義も見つめ直すことになります。さらには、自分たちの親たちとの関係も。脚本は新人登竜門と言われる台湾最大の脚本コンペで優秀賞を受賞した、ダン・イーハンの「我親愛的遺腹子」。これがリン・ウェンイーの目にとまり、LGBTに詳しいシエ・グアンチェンを監督に起用。本作で監督デビューを飾っています。物語が時系列ではなく途中から始まっており、過去の出来事がランダムにフラッシュバックで説明されていくという構造なので、初見ではわかりにくいかもしれません。ぜひ、2度、3度と注意深くご覧ください。
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