story
13世紀末、北インドではハルジー朝が興り、武功をあげたアラーウッディーン・ハルジー(ランヴィール・シン)は国王で叔父のジャラールッディーン・ハルジー(ラザー・ムラード)に娘のメヘルンニサ姫(アディティ・ラーオ・ハイダリー)との結婚を許される。しかし、アラーウッディーンは残虐な性格の持ち主で、婚礼の日に侍女を犯すなど悪徳三昧。ついには、ジャラールッディーンを暗殺し、皇帝の座を手に入れた。
その頃、西インドの小国、メーワール王国の王ラタン・シン(シャーヒド・カプール)は、王妃ナグマティ(アヌプリヤ・ゴーンカ)のネックレスに使う真珠を探しに、海辺にあるシンガール王国へやって来る。そこには、勇敢で美しい王女パドマーワティ(ディーピカー・パードゥコーン)がいた。狩りの最中にパドマーワティは偶然ラタン・シンと出会い、二人は恋に落ちる。ラタン・シンはパドマーワティを新たな妃としてメーワール王国へ連れ帰った。
ところが、ラタン・シンの信頼していた僧侶がパドマーワティの美しさに惹かれ、覗きをしていたことから王の逆鱗に触れて追放される。僧侶は北インドへ流れ着き、アラーウッディーンの元に留まることになる。モンゴルからの侵入を阻み、領土拡張を続けていたアラーウッディーンは自らを「第二のアレキサンダー」と称し権勢を振るっていた。
僧侶の甘言でパドマーワティを手に入れたいと思ったアラーウッディーンは、腹心のマリク(ジム・サルブ)と作戦を画策。メーワール国に兵を差し向け、なんとかラタン・シンとの謁見は叶うが、パドマーワティの姿を見ることはできなかった。そこで、アラーウッディーンは罠を用いてラタン・シンを捕らえ、デリーの王宮に幽閉してしまう…。
アジコのおすすめポイント:
豪華絢爛な歴史大作ドラマです。原作は16世紀に書かれたという叙事詩「パドマーワト」。歴史的事件に美女伝説を絡めた創作なのですが、パトマーワティという王妃が実在したことから、この美女伝説と融合して神格化され、ラージャスターン地方では女神のように信仰されているそうです。さて、本編。絶世の美女をめぐる二人の対照的な王の戦いが重厚に描かれます。誇り高きラージプート族の王である夫に対し、破竹の勢いで領土拡大を続ける野望の塊のような王は残虐非道な男。美女を手に入れたい、一目だけでも見たいという一心で国を滅ぼしてしまいます。さて、その偏執狂的な願いは叶うのか? 主演はまさに絶世の美女にぴったりのディーピカー・パードゥコーン。二人の王を演じるのはランヴィール・シンとシャーヒド・カプール。監督は映像美に定評のあるサンジャイ・リーラ・バンサーリー(音楽も担当)。ディーピカー&ランヴィールとは『銃弾の饗宴 ラームとリーラ』(13年)『Bajirao Masutani』(15年)に続く3度目の合作で、二人が結婚(2018年秋)するきっかけにもなったのでした。そのせいか、横恋慕に身を焦がすランヴィール・シンの悪役演技が際立っております。
|