隠された時間
(遮られた時間/Vanishing Time:A Boy Who Returned)
story
児童心理学者のミン・ギョンヒ(ムン・ソリ)は、オ・スリン(シン・ウンス)の手記を出版するため、スリンにカメラを向けながら取材を始める。誰も信じようとしない彼女の話を、ギョンヒは理解してくれようとしていた。それは、とても不思議な物語だった。
6年前、再婚したばかりの母を亡くしたスリンは養父(キム・ヒウォン)に引き取られ、トンネル工事の仕事をしている彼と離島にやって来た。養父に馴染めず学校でも孤立していたスリンは、養護施設で暮らすソンミン(イ・ヒョジェ)と出会い、親しくなる。空想好きの二人はすぐに意気投合。スリンが作った暗号で交換日記を交わしたり、森の中にある廃屋で過ごしたり。「私のこと好き?ずっと?」やがて友情が初恋に変わり、二人はファーストキスを交わした。
満月の夜、ソンミンが仲間の少年たちとトンネル爆破工事を見に行くと知り、スリンもついて行く。森の中に洞窟を見つけ、4人で探検していると、水たまりの底に卵型をした謎の発光体を発見。少年のおじいちゃんの話によれば「満月の夜に洞窟に入ると、時間を盗まれる」らしい。4人は好奇心に負けて水たまりに潜り、卵を取り出して外へ出る。
大切なへアピンを落としたスリンが、洞窟へ戻った時、爆破工事が始まり大きな地鳴りが起こる。スリンが必死に外へ抜け出すと、そこには誰もおらず、割れた謎の物体の残骸が散乱していた。3人を探して山を彷徨うスリン。スリンは捜索隊に保護されるが、ソンミン、テシク、ジェウクの3人は戻ってこなかった。洞窟は消え、やがてジェウクの遺体が発見される。スリンだけが助かったことで、トンネル工事の事故を隠蔽しているのでは?と養父が疑われた。
ある日、スリンは誰かの気配を感じる。「スリン…僕はソンミンだ」と呼びかける男(カン・ドンウォン)がいた。長身の見知らぬ大人の男性に声をかけられ、逃げ出すスリン。しかし、警官が森の中で発見したノートを受け取ると、驚くべきことが暗号文字で書かれていた。卵型の物体を割った途端、3人の周りの時間が止まってしまったというのだ…。
アジコのおすすめポイント:
カン・ドンウォンならではの魅力が光る、ミステリアスでファンタジックなラブストーリーの登場です。初恋に目覚めた少年と少女が、離島に残る不思議な伝説に巻き込まれ、時を超えて巡り会う物語。ただし、男の子は止まった時空の中で過ごして成長し、大人になって少女の前に現れます。果たして、彼女は彼に気づくことができるのか? 二人の恋はどうなるのか? 少年の心のまま大人になった青年を、カン・ドンウォンがあの眼差しで演じ、最近では悪役も難なくこなす演技派になった彼が、まるで『オオカミの誘惑』の頃に戻ったよう。そんな彼の相手役となる少女を演じるのは、300倍もの競争を勝ち抜いた新人シン・ウンス。可愛らしさの中に大人びた雰囲気も合わせ持ち、後半は大人になった少年をリードしていきます。そして、二人に訪れる結末とは…。監督は、1枚の絵を見てインスピレーションが湧き、この物語を作ったというオム・テファ。そのシーンは終盤のクライマックスで登場します。本作が長編デビュー作。韓国映画界にまたまた新たな才能の登場です。
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