太陽の下で ー真実の北朝鮮ー
(V paprscich slunce/Under The Sun)
story
「朝日が一番早く昇る地球の東側にある美しい国」と自分の国を紹介するジンミ(リ・ジンミ)は、平壌で両親と暮らす8歳の少女だ。ジンミは金正日の誕生日に優等生しか入れない朝鮮少年団に入団が決まっている。広いマンションで家族と食事をするジンミ。固定されたカメラの前に、北朝鮮の監督が現れて指示をしている。
ジンミによれば、父はジャーナリスト。母は食堂で働いているはずだった。ところが、父親は縫製工場のエンジニアということになり、ジンミが朝鮮少年団に入団することで皆から祝福される。母親も豆乳工場で働く女工に変更され、同僚から拍手を送られるのだった。カメラは工場の様子やスローガンなどを映し出す。
入団の日。ジンミは新入生代表でスピーチをする。そして、金日成の誕生日に行われる「太陽節」で披露する歌とダンスの特訓が始まる。授業の合間にレッスン場を訪れるジンミ。先輩の真似をして、踊りながら愛らしい笑顔を作っていく。だが、きびしいレッスンについていけず、ジンミは涙を流してしまう。
太陽節の記念式典。屋外で整列する子どもたち。太陽があまりにまぶし過ぎて、ジンミは手で太陽の光を遮っている。いよいよ、本番の舞台。「4月の春親善芸術祝典」で、ジンミは無事ダンスを踊ることができた。市民は規則正く並び献花をしている。運動場の青年たちも隊列を組んで歌い、秩序正く行進する。
町の至る所に金正日、金日成の銅像が建っている。建物の中には二人の肖像画や写真が飾ってある。少年団に入団したら、ジンミは何をしたいのか? ジンミの好きなものとは?
アジコのおすすめポイント:
監督はモスクワ・ドキュメンタリー映画祭の会長もつとめるヴィタリー・マンスキー。北朝鮮市民の普通の生活を撮るために2年がかりで交渉し、何人かの候補の中から選んだジンミちゃんに密着撮影したものの、脚本は書き換えられ、家族の家も職業もセリフもすべて当局に指示されたものだった、という事実を密かに撮影した異色ドキュメンタリーです。いたるところに将軍様ファミリーの銅像やら肖像画、写真が飾られている平壌。朝鮮少年団に入団した優等生のジンミちゃんですが、流れる涙の意味に気づかないまま大人になっていくのでしょう。このラストシーンの長回しは必見。こわいです。本作は北朝鮮からの要求で、ロシアでは上映禁止になりましたが、世界の映画祭で上映され数々の賞を受賞。今、北朝鮮の小学校では優等生ジンミちゃんの写真が飾られているそうです。少し安堵しました。
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