| 神なるオオカミ（狼図騰/Wolf Totem）
story
1967年、中国。毛沢東による文化大革命の下放政策で、北京の大学生チェン（ウィリアム・フォン）と友人ヤン（ショーン・ドウ）は内モンゴル行きを志願。伝統を重んじる遊牧民の族長ビリグ（パーサンジャブ）の放牧地にやって来る。二人は2年間、彼らと共に羊飼いとして働き、子供たちに勉強を教えることになったのだ。
半年が過ぎ、放牧の生活にも慣れてきた頃、チェンはうっかり狼たちの縄張りに足を踏み入れてしまう。凶暴な狼の群れに取り囲まれながらも、なんとか命の危機を乗り切った彼は、狼たちの威厳に満ちた生気を感じ、神に出会ったような高揚感に包まれる。チェンはビリグから狼の団結力や智恵を教えてもらい、ますます狼に魅了されていく。
「この世のすべては天（タンゴル）の意思で決められている」遊牧民は自然界の秩序を乱すような殺生はしない。狼たちは牧草を荒らすガゼルたちを雪穴に追い込んで腹を満たす。その肉を遊牧民も頂くが、狼のために必ず残しておく。ところが時代が変わり、ガゼルの屍骸を盗んで私腹を肥やそうとする輩が現れた。
政府も狼を害獣とみなし、駆除を命じてきた。生まれたばかりの狼を殺す役目を担うことになったチェンとヤンは、三匹の狼の赤ん坊を捕獲する。二匹は処分されてしまったが、チェンは生き残った一匹を密かに連れ帰り、シャオラン（小狼）と名付けて屋外の穴に隠し、育てることにする…。
●アジコのおすすめポイント：
『愛人／ラマン』『セブン・イヤーズ・イン・チベット』『スターリングラード』などで知られるフランスの名匠ジャン＝ジャック・アノー監督は、『小熊物語』や前作の『トゥー・ブラザーズ』など、アジアだけでなく動物をテーマにした作品も撮っています。そんな監督が魅了されたのが、中国で1800万人以上の読者を持つ大ベストセラー「神なるオオカミ」。著者のチェン・ロンが実体験を元に、30年の歳月をかけて書き上げた本作は、大自然や動物と人間の共存を描き、人間の身勝手さや自然破壊に警鐘を鳴らしています。そして構想から5年、監督は中国との合作によりついに映画化を実現させました。主演はドラマ「蘭陵王」で日本でも人気の高いウィリアム・フォン。『いつか、また』に続く現代もの（時代劇ではないという意味）ですが、ファン必見の作品となっています。共演は『サンザシの樹の下で』でデビューし『破風』での演技も印象的だったショーン・ドウ。『レッドクリフ』のバーサンジャブが威厳に満ちた族長を演じています。特集上映期間中の公開なので、お見逃しなく。
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