無頼漢 渇いた罪(The Shameless)
story
深夜。眠っている女の部屋に、血まみれの男が忍び込んでくる。「すまない。ファンを殺した」と告白する男パク・ジュンギル(パク・ソンウン)は、水商売の女キム・ヘギョン(チョン・ドヨン)の情夫だ。動揺するジュンギルをなだめるように、二人は激しく愛し合う。そして、ジュンギルは身を隠すために去って行った。
翌日、ホステス殺しの現場に、刑事たちが集まっていた。目撃者の証言から、パク・ジュンギルが容疑者として浮上する。投資会社で働いていたジュンギルは、専務の愛人だったヘギョンと恋仲になり、二人で会社から逃れていた。担当刑事チョン・ジェゴン(キム・ナムギル)は、ジュンギルが必ずヘギョンの元に現れると予測する。
ヘギョンの張り込みが始まった。小さなバーのママをしているヘギョンを監視し、部屋にも盗聴マイクを仕掛けるジェゴン。予想通り、深夜にジュンギルが現れるが、取り逃がしてしまう。ジェゴンはジュンギルの過去を調べ、彼が刑務所に服役していた時の友人イ・ミンチョルと偽って、ヘギョンのバーでフロアマネージャーとして働き始める。
ジェゴンは正義感の強い刑事だが、ずっとヘギョンを監視しているうちに、彼女の身の上に同情心を感じていた。さらにミンチョルとして彼女の近くで過ごす時間が長くなるにつれ、微妙な感情が芽生えていく。一方、不安定な心を抱えたままジュンギルを待つヘギョンも、頼もしいミンチョルに心を開いていく…。
●アジコのおすすめポイント:
ファム・ファタールとしてのチョン・ドヨンの魅力がたっぷり味わえる作品です。ある事件を通じて交錯する男女の愛の不条理を、ハードボイルドなサスペンスドラマとして描いており、今年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門にも招待されました。男を手玉にのし上がったものの、愛人ができて身を持ち崩しかけている女をチョン・ドヨン。上司の女に手を出して、女のために堕ちて行く男をパク・ソンウン。そして、そんな二人と関わり、何時の間にか容疑者の女に惹かれていく刑事をキム・ナムギルが演じ、情と信念の間で揺れ動く様を見せてくれます。ハードなベッドシーンもありますが、アクションシーンも見応えあり。監督は『八月のクリスマス』(98)の脚本で注目され、パク・シニャンとアン・ソンギが主演した監督デビュー作『キリマンジャロ』(2000)で斬新なスタイルの犯罪映画を生み出したオ・スンウク。映画界に復帰し、14年ぶりにメガホンをとった第2作目です。果たして、この感情は真実なのか、嘘なのか? 3人の男女の危うい関係の顛末を、劇場でご堪能ください。
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