ルンタ(Lung Ta)
story
2009年以降、チベットでは中国の圧制に対して自らに火を放ち抵抗を示す「焼身抗議」が後を絶たない。その数141名(2015年3月3日現在)。今も多くの命が失われている。彼らはなぜ、このような決意をしたのか? その時、何を思っていたのか?
インド北部の町ダラムサラには、亡命したチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世の亡命政府がある。この町に30年間住み続ける日本人建築家、中原一博(62歳)は、NGO代表として故郷を失ったチベット人を支援。「焼身抗議」のリポートをブログで配信している。
監督の池谷薫は中原の活動を紹介しながら、彼と共に、かつて政治犯として監獄に囚われていた人々や、外国メディアの前で決死の抗議を行った青年僧たちを取材。また、ルンタが舞うチベットを訪れ、焼身抗議があった現場や祈る人々の姿をとらえていく。
●アジコのおすすめポイント:
信心深く、平和を愛する素朴な民、チベットの人々がいかに逆境に立たされているかが、ダラムサラで長年チベットの人々と向き合ってきた日本人、中原一博さんの目を通して紹介されていきます。その根底にあるのは、中原さんの感じた疑問と深い哀しみ。悲しい抗議を行った一人一人のバックグラウンドを調べ、彼らの思いを掬い取ろうとする行為は祈りのようです。ドキュメンタリー『ダライ・ラマ14世』(渋谷ユーロスペースにて7/24まで)も公開中の今、チベットの現状を知り、チベットの人々の心に触れるまたとない機会となるでしょう。チベットの風にはためく祈り札「ルンタ(風の馬)」が連なる旗の音は、まさに馬が翔けて来るようです。たくさんの願いが天に届きますように。
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