唐山大地震(唐山大地震/Aftershock)
story
1976年7月28日、中国河北省唐山市。トンボの大群が移動するのを見た日、双子の姉弟、ファン・ドン(チャン・ツィフォン)とファン・ダー(チャン・ジアージュン)は、いじめっ子に仕返ししてアパートに逃げ帰る。家には初めての扇風機があった。貧しいながらも幸せな生活を送る4人家族。しかしその夜、マグニチュード7.8の地震が起こる。
外にいた父(チャン・グォチアン)と母(シュイ・ファン)は子どもたちを助けに戻り、父親はアパートの倒壊に巻き込まれる。翌朝、一人取り残され絶望の淵にいる母親に、子どもたちが瓦礫の下で生きているという知らせが届く。しかし、位置がわるく、片方を助けるには片方を犠牲にしなければならない。過酷な選択を迫られた母は「息子を…」とつぶやいて泣き崩れる。それは娘にも聞こえていた。
遺体置き場に夫と娘も並んでいた。放心した母は人々にうながされ、腕を負傷したファン・ダーを医者にみせるため立ち去る。ところがその後、ファン・ドンが奇跡的に息を吹き返す。茫然と立ちすくすファン・ドンは、人民軍の救援隊に保護される。そして、心を閉ざしたまま、軍人夫婦(チェン・ダオミン&チェン・ジン)の養女となった。
時は流れ、母のリー・ユェンニーは片腕を失くしたファン・ダー(リー・チェン)と共に、唐山市で生きていた。毎年のお盆に、夫と娘を迎えるためだ。母は息子を大学に進学させてやりたいと懸命に働いていたが、ファン・ダーは母を早く楽にするため都会で一旗あげようと考え、仲間たちと深土川へ出て行く。
一方、養父母の愛情に包まれて美しく成長したファン・ドン(チャン・チンチュー)は、医大に進学して.寮生活を送っていた。
●アジコのおすすめポイント:
フォン・シャオガン監督が唐山市に託されて撮りあげた渾身作です。きっかけとなったのは2008年の四川大地震。当時、唐山市は唐山大地震の被災者のために唐山大地震についての映画を作ろうと考え、オファーを受けた監督は2年前に感銘を受けていた原作「余震」を元に映画化を進めていきました。唐山大地震は直下型地震で、揺れはわずか23秒でしたが、24万人以上の死者を記録。4200人が孤児となっています。その事実を背景に、息子を助けるために娘を犠牲にしなければならなかった母親と、奇跡的に助かった娘が心の傷を抱えて生き延び、32年後の四川大地震をきっかけに再会する物語となりました。二人が対峙して胸中をぶつけあい、わだかまりを溶かしていくシーンは胸が熱くなります。また、チェン・ダオミン(『妻への家路』)が慈愛に満ちた娘の養父を好演しています。エンディング曲はフェイ・ウォン。透明な声で歌う被災者への鎮魂歌が深い余韻を残します。2011年3月に公開予定だった本作は、直前の東日本大震災の影響で長らく公開が延期されていました。3.11後の今だからこそ、大地震の恐ろしさがリアルに迫ってきます。
▼公式サイト 閉じる
|