泣く男(泣く男/No Tears for the Dead)
story
アメリカ。ナイトクラブのテーブルで、目つきの鋭い男がナプキンで折鶴を折っている。組織に身を置く冷徹な殺し屋ゴン(チャン・ドンゴン)だ。近くのテーブルに座る場違いな幼い少女ミウ(カン・ジウ)が、それを楽しげに見つめていた。
その夜の仕事は、ロシアン・マフィアと商談中の韓国人ビジネスマンを皆殺しにすること。ゴンは席を立ち、クラブのバックヤードで黙々と任務を遂行するが、彼の後を追って迷い込んでいたミウも過って撃ってしまう。彼女は韓国人ビジネスマンの娘だった。
ゴンの所属は中国系犯罪組織。その日、取引されようとしていた中国系組織の口座情報を取り戻すこともゴンの任務だったが、リストは見つからず任務は失敗。ボスはゴンに、情報を渡している可能性の高い韓国人ビジネスマンの妻モギョン(キム・ミニ)を消せと命じる。ゴンはこれを最後の仕事と決め、韓国へ旅立つ。
ソウルの投資企業の若き取締役であるモギョンは、愛娘ユミを亡くして以来、抜け殻のようになっていた。そんな彼女を尾行して、殺しの準備を整えるゴン。しかし、ユミの最期の姿が脳裏に焼き付き、喪失感に苦しむモギョンを撃つことができない。罪悪感が、ゴンの心に封印したはずの哀しい過去を呼び覚ます…。
一方、ゴンの裏切りを知った組織は、モギョンのもとに刺客を送るがゴンに倒され、モギョンは警察に保護される。そこで、組織はゴンの仲間だったチャオズ(ブライアン・ティー)を始めとする3人の殺し屋たちを送り込み、モギョンを連れ去ってしまう。
●アジコのおすすめポイント:
前作『アジョシ』では、ストイックな特殊部隊要員が誘拐された少女を助ける物語を描いたイ・ジョンボム監督。今回は、間違って少女を殺めてしまった非情な殺し屋が、その母親を通じて過去と人間性を取り戻し、組織に立ち向かっていく姿を描きます。主演は身体を絞り、鋭角で野性的な風貌を作り上げたチャン・ドンゴン。訓練されたアクションに挑戦したかったという彼は、本作のために5ヶ月間も訓練を行ない、アメリカではFBIの特殊要員長官から射撃訓練も受けたそう。母親を演じたキム・ミニは、劇中で歌も披露しています。絶対的に強い男が組織に対して仕掛けていく作戦と古い仲間との友情、そして自らに課した贖罪の顛末をご覧あれ。
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