無花果の森(---)
story
雑誌記者のキム・ヨンホ(ユナク)は、音楽ホールの近くで一人の女性を見つめていた。彼女は世界的指揮者、新谷吉彦(三浦誠已)の妻・新谷泉(原田夏希)。ヨンホは新谷吉彦の彼女に対するDVを暴こうとしていた。ヨンホは彼女に取材を申込むが、泉は名刺を握りつぶして立ち去る。
しかし、泉はすでに夫の暴力に耐える力を失っていた。またしても暴力をふるわれた彼女は、夫の隙をみて、ついに家を飛び出す。携帯電話を捨て、あてもなく列車を乗り継いでたどり着いたのは、さびれた町だった。一息つくために入った喫茶店で、泉は家政婦募集のはり紙を見つける。
連絡した翌日その家を訪ねると、それは古い学校で、年老いた女流画家の天坊八重子(江波杏子)がアトリエにして一人で住んでいた。天坊はいかにもワケアリの泉を、住み込みの家政婦として雇う。名前は「高田洋子」という偽名にした。庭に大きな無花果の樹があり、天坊はその無花果の絵ばかりを描いていた。
気難しい天坊との暮らしや家政婦の仕事にも慣れてきた頃、泉は天坊に誘われて飲み屋を訪れる。店主はゲイのサクラ(小木茂光)だ。怪我をしたサクラは、自分を助けてくれたかわいい男の子を拾ったと紹介する。店を手伝うその男の子とは、なんとヨンホだった。彼は芸能界の麻薬汚染疑惑を追っていて、逆に嵌められ警察に追われていたのだ。
追われる者と逃げる者、再会した二人は次第に心を寄せ合い、自然に結ばれる。そして…。
●アジコのおすすめポイント:
日本でも絶大な人気を持つK-POPグループ超新星。そのリーダーで、日本語が堪能なため日本でのソロ活動も盛んなユナクを主人公にしたラブストーリーです。原作は平成23年度の芸術選奨文部科学大臣賞を受賞した小池真理子の同名小説。夫から逃げた妻、警察から追われる雑誌記者、とサスペンスな要素もあるものの、小さな町で身元を隠してひっそりと出会った二人が、このエアポケットのような空間で愛を育んでいく過程が丁寧に描かれます。そして、二人を迎え入れた老女流画家やゲイのマスターの正直で凛とした生き方が、二人の未来に影響を与えていきます。「原作が素晴らしかったから、この役に挑戦した」と語るユナク。清々しい爽やかさが残る、美しいラブストーリーをご堪能ください。尚、ユナクは本作の後、イノセントラブ・シリーズで主演した『この世の果て』公開が8月に控えています。
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