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少女は自転車にのって

監督・脚本:ハイファ・アル=マンスール
撮影:ルッツ・ライテマイヤー
編集:アンドレアス・ヴィドラシュケ
美術:トーマス・モルト
衣装:ピーター・ポール
音楽:セバスチャン・シュミット
出演:ワアド・ムハンマド、アブドゥルラフマン・アル=ゴハニ、リーム・アブドゥラ、スルタン・アル=アッサーフ、アフドゥ

2012年/サウジアラビア・独
日本公開日/2013年12月14日
カラー/ビスタサイズ/ドルビーデジタル/97分/アラビア語
配給:アルバトロス・フィルム
(c)2012, Razor Film Produktion GmbH, High Look Group, Rotana Studios
2012年 ヴェネチア国際映画祭 C.I.C.A.E.賞
 /Cinema Avvenire賞/インターフィルム賞
2012年 ドバイ国際映画祭
 作品賞/女優賞(ワアド・ムハンマド)
2012年 タリン・ブラックナイト映画祭
 ドン・キホーテ賞/ネットパック賞
2013年 ロッテルダム国際映画祭 ディオラフテ賞
2013年 ロサンゼルス映画祭 観客賞
2013年 ヨーテボリ映画祭 観客賞
2013年 パームスプリング映画祭
 注目監督賞(ハイファ・アル=マンスール)
2013年 フリブール国際映画祭 観客賞
2014年 アカデミー賞外国語映画賞 サウジアラビア代表



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少女は自転車にのって(Wadjda)

story

 サウジアラビアの首都リヤド。ある朝、10歳の少女ワジダ(ワアド・ムハンマド)は、学校に向かう途中、後ろから自転車でやってきた近所の男の子アブドゥラ(アブドゥルラフマン・アル=ゴハニ)に被っていたヒジャブ(スカーフ)を取られ、喧嘩する。「男に勝てるわけないだろう?」と言って走り去るアブドゥラに、ワジダは自分も自転車で競争してアブドゥラを負かしたいと心に誓う。

 女子だけが通う学校に着くと、戒律を重んじる女校長(アフドゥ)に「髪の毛を出してきたの?」と叱られる。笑い声を立てれば、「女性の声は肌と一緒。外に聞こえるわ」と注意される。制服の下はジーンズとスニーカー、ヒジャブも被らず登校するワジダは、問題児扱いだ。

 家に帰る途中、ワジダは綺麗な緑色の自転車が近所の雑貨店に運ばれていくのを目にする。お母さん(リーム・アブドゥラ)に買ってほしいとお願いすると「女の子が自転車なんてとんでもない!」と相手にしてくれない。毎日、往復3時間もかけて教師の仕事に出かけているお母さんはくたくたなのだ。

 緑色の自転車の値段は800リヤル。ワジダは手作りのミサンガを学校でこっそり売ったり、上級生の手紙を男友達に手渡したりして小遣いを稼ぐが、とても足りない。そんなある日、学校でコーラン暗唱コンテストが行われることに。優勝すれば賞金は1000リヤルだ。ワジダは宗教クラブに入り、コーランを美しく詠唱できるよう一生懸命練習する。

 一方、ワジダのお母さんは悩みを抱えていた。家を継ぐ男子を得るために、父(スルタン・アル=アッサーフ)が第2夫人を迎えようとしていたのだ。夫の実家で行われた婚礼の宴を見て、涙する母。ワジダもつらい。

 そして、いよいよコーランの暗誦コンテストの日。ワジダは勝ち抜いて、最後の3人に残るのだが…。

●景山咲子さんのおすすめポイント:

コーランの美しい響きにうっとり。舞台は厳格なワッハーブ派が支配するサウジアラビア。男女隔離が厳しく守られている様子を映画から垣間見ることができます。女子校は教師も皆女性。家でも、料理を用意し応接間の手前に置いて合図する場面があって、決して男性客に女性が姿を見せないことがわかります。自転車は、ようやく最近女性も乗ることが認められたけれど、公園等では男性親族が同行し、全身を覆っていることが条件。交通手段としては認められていません。そんな国で、少女が颯爽と自転車に乗って男の子と競争する姿を映し出した本作は、まさに驚くべき映画。ワジダは欲しいものを手に入れるために努力を惜しみません。自分たちの力で社会を変えていくことができることも、この映画は教えてくれるでしょう。

*今回は中東作品に詳しいシネマジャーナルの景山咲子さんにおすすめしていただきました。(アジコ)


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