フェニックス 約束の歌(あたたかいエール)
story
カメラのないところでは、いつも不機嫌なトップアイドルのチュンイ(イ・ホンギ)。今日も新曲のPVを何度も撮り直した上に、社長が行きたくもないパーティに顔を出せとうるさい。些細なことから通りすがりの男と口論になったチュンイは、思わず先に手を出してしまう。
罰として、チュンイは社会奉仕活動を命じられ、マネージャーのクァンサム(ヒョン・ソン)が運転する車で、トンヒョン病院へ向う。そこで開かれた記者会見で、チュンイは反省の言葉を口にするが、撮影が終ると、すぐに無愛想な顔に戻るのだった。
そんな彼の指導役として紹介されたのが、病院に着く前に最悪の出会いをしたアンナ(ペク・ジニ)だ。彼女はアイドルなんて興味ないというクールな態度で、ハードな仕事を容赦なく命令する。しかもアンナの「よくできました」のハンコをためないと、奉仕活動は終らない。
そこは不思議な病院だった。タバコを吸うイレズミのムソン(マ・ドンソク)、夜の歓楽街でバイトするボンシク(イム・ウォニ)、チュンイの写メを撮りまくる幼い少女ハウン(チョン・ミンソ)、息子のヒムチャン(ノ・ガンミン)のために童話を書いている女性(シム・イヨン)など、皆ちっとも患者らしくない。
初めての肉体労働で疲れ切ったチュンイの耳に、音楽が聴こえてくる。思わず音をたどると、敷地内の建物の中でバンドが練習していた。ギターはボンシク、ベースはアンナ、ドラムはムソンで、キーボードがハウン。フェニックスという名の素人バンドだった。
●アジコのおすすめポイント:
広告やTV界で活躍したナム・テクスの映画監督デビュー作。そして、人気ドラマ「美男<イケメン>ですね」や高島礼子と共演した「のり子、ソウルへ行く!」で注目されたイ・ホンギの初主演映画デビュー作です。どことなくチャン・グンソクにも似ているイ・ホンギは、日本でもメジャーデビューした人気ロックバンドFTISLANDのボーカリスト。そんな彼が「とても感動した」と初主演作に選んだのが本作。ホスピスという重くなりがちな題材を選びながらも、限られた時間を精一杯謳歌する人々を爽やか&ユーモラスに描いており、前向きなヒューマンドラマとなっています。マ・ドンソクやイム・ウォニなど名脇役たちも好演。生死の境にいる人々のドラマゆえ、悲しい場面もありますが、命や夢の大切さを実感させてくれる感動作です。ホンギ君、よい作品を選びました。
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