ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日
(Life of Pi)
story
インドで小説を書こうとして挫折したカナダ人のライター(レイフ・スポール)が、モントリオール在住のインド系カナダ人、パイ・パテル(イルファン・カーン)の自宅を訪ねる。インドで出会ったある人物から、このパイという風変わりな名前を持つ男に会って話を聞けば、神を信じるようになり、面白い小説を書けると告げられたからだ。
こうしてパイが若いライターに語り始めたのは、この世のものとは思えないほど波乱に満ちた体験談だった。
1960年代初めのインド・ボンディシェリで生まれたパイは、父親(アディル・フセイン)が経営する動物園で様々な生き物と触れあい、勉強や恋愛に一喜一憂する少年(アーユッシュ・タンドン、ゴータム・ベルール)だった。
ところが、1976年、16歳になったパイ(スラージ・シャルマ)の人生は根底からひっくり返ってしまう。カナダ・モントリオールへの移住を決めた家族、動物園の動物たち、そしてパイが乗り込んだ日本の貨物船が、洋上で嵐に見舞われて沈没したのだ。
生き残ったのは、必死の思いで救命ボートに避難したパイと、足を折ったシマウマ、ハイエナ、オランウータン、そしてベンガルトラのリチャード・パーカーだけだった。まもなく、シマウマらが相次いで命を落とし、パイは体重200キロを越すトラとともに、大平洋をさまようことになる。
わずかな非常食で当面の餓えをしのぎ、家族を亡くした悲しみと孤独にも耐えるパイは、どのようにして腹を空かせた獰猛なトラの襲撃をかわし、この極限状態を生き抜いていくのか。大人になったパイが語ったその物語は、想像を絶する227日間の漂流生活だった…。
●アジコのおすすめポイント:
名匠アン・リー監督が、ついに3D作品に挑戦! 原作はカナダ人作家ヤン・マーテルが01年に発表した「パイの物語」。世界各地でベストセラーとなり、イギリスでは権威あるブッカー賞を受賞した本作は、奇想天外な設定と海を背景にしたスペクタクルなサバイバル・ストーリーで、映像化が待ち望まれていたのでした。3000人から抜擢された主演のスラージ・シャルマは、水泳からダイエットプログラム、身体トレーニングをこなし、海のシーンは台中の空港跡地に作られた巨大なタンク(長さ70m、幅30m、深さ4m!)で撮影されました。トラのリチャード・パーカーをはじめ、ほとんどがCG相手の演技。実際どのように撮影されたのか、メイキングを見たいものです。そして、その映像の美しいこと! 荒れ狂う海の恐ろしさだけでなく、群れをなすトビウオやクジラ、星降る夜の凪いだ海に輝く生物など、海の神秘的な美しさも描かれます。ミーアキャットの不思議な島も必見。そして、主人公とトラの関係はどうなっていくのか…結末は、あなたが何を信じるかに委ねられることでしょう。
|