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アリラン

製作:キム・ギドク
監督:キム・ギドク
撮影:キム・ギドク
録音:キム・ギドク
編集:キム・ギドク
音響:キム・ギドク
美術:キム・ギドク
出演:キム・ギドク

2011年/韓国
日本公開日/2012年3月3日
カラー/HD/1:1.77/91分
配給:クレストインターナショナル
(c)2011 KIM Ki-duk Film Production.
2011年 カンヌ映画祭 ある視点部門・最優秀作品賞
2011年 ポーランド映画祭 グランプリ

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アリラン(アリラン/Arirang)

story

 「私は今、映画を撮れない。だから自分を映画にして撮っている。その中で、私自身の人生を語り、映画監督キム・ギドクと人間キム・ギドクを語る。これは、ドキュメンタリーでもドラマでもあり、ファンタジーでもある」と語りかけるキム・ギドク。「今、何かを撮らなければ幸せになれないから、自分を撮っている」

 雪深い山間の町外れにある粗末な一軒家で、キム・ギドクは猫と独居生活を送っている。寒いので家の中にテントを張って寝床とし、薪ストーブと1つの鍋で食事を作る。窓際にはカットされた野菜や柿が並んでいる。雪を溶かして水を作り、エスプレッソマシンでコーヒーを入れる。そして鍬を持ち、家から離れたいつもの場所で用を足す日々。

 眠っていると誰かがドアをノックするが、外には誰もいない。やがて、ギドクはカメラに向かい、映画が撮れない今の苦しい心情を語り始める。08年の『悲夢』の撮影中、女優が命を落としかけるという事故があった。幸い大事には至らなかったが、このことで彼は精神的に相当なダメージを受けていた。目に涙を浮かべながら切々と訴えるギドク。

 さらに、自分の映画に対する国内外での正反対の評価や、メジャー映画を目指して自分のもとを去った映画仲間の裏切りなど、様々な事柄について語りはじめる。そんな彼を、第2のギドクが「何でもいいから映画を撮れ」と励まし、さらに第3のギドクが別な意見を述べるのだった…。

●アジコのおすすめポイント:

 キム・ギドク監督が一番辛い時に自分自身を見つめなおし、自分に向けてカメラを回した作品です。昨年の東京フィルメックスでオープニング上映され、その時に監督の来日会見がありましたが、隠遁生活を抜けて公の場所に出たのはこの日が初めてだったとか。以前のエネルギッシュな感じと違い、とても穏やかな表情になっていました。(写真参照)監督はこの作品について、次のように語っていました。

キム・ギドク監督
 「『悲夢』以降、いろいろなことがあり、山奥の民家に隠りました。人間に必要な小さな生活をしていました。そこで得るものは多かった。悟ったものもあります。『アリラン』では、それを表現しています。これは自分への告発であり、告白でもある。そんな中で自分でも驚いたのは、苦痛な時間であるはずなのに、キャラクター作りをしていたということ(笑)。私は画家になりたかったがなれなかったので、映画監督になったのかもしれません。映画は、社会に影響を与えられるものと思っています。『アリラン』を撮ったことで、今は扉を抜けたような気分になっています」

 ちなみに映画に出て来るエスプレッソマシンは4台作ったそうで、そのうちの3台が登場しています。アジコ的にはきれいに並んだ柿にもこだわりが感じられました。この2月にクランクインしたばかりの『ピエタ』(主演はイ・ジョンジン)が、どんな作品に仕上がるのか楽しみですね。

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