シャンハイ(上海/Shanghai)
story
1941年、上海。そこではイギリス、フランス、アメリカ、そして日本が租界を置き、怪しくも危険な魔都を制しようと睨み合っていた。上海に降り立った米国諜報部員ポール・ソームズ(ジョン・キューザック)は、同僚で親友のコナー(ジェフリー・ディーン・モーガン)とカジノで落合うはずだった。しかし、コナーは現れず、ソームズは美しい中国女性とポーカーで対決し、完敗する。
米国領事館からの迎えで海軍情報部へ向かったソームズを待っていたのは、変わり果てたコナーの姿だった。ソームズは上官のリチャード・アスター大佐(デヴィッド・モース)から、遺体は日本租界で見つかったこと、コナーは上海三合会のボス、アンソニー・ランティン(チョウ・ユンファ)を捜査していたことを知らされる。
ソームズは友人であるドイツ領事館の技師夫人レニ(フランカ・ボテンテ)を頼りに、上海ヘラルド紙の記者に扮し、ランティンが出席するドイツ領事館のパーティに潜り込む。そして、ランティンとの会話の糸口を掴んだソームズは、彼から日本軍大佐タナカ(渡辺謙)を友人だと紹介される。ランティンの妻、アンナ(コン・リー)はカジノで出逢った女だった。彼女はソームズにカジノでのことを口止めする。
捜査線上に浮かんだ日本領事館のキタ(ベネディクト・ウォン)から、コナーには日本人の愛人スミコ(菊池凛子)がいたことがわかる。ソームズとアスターはスミコのアパートに踏み込むが、すでに彼女の姿はなかった。アパートに暗室を借りていたコナーは、ランティン夫妻とタナカを隠し撮りした写真を残していた…。
●アジコのおすすめポイント:
アメリカ人諜報部員、日本軍人、上海黒社会のボス、そして抗日レジスタンスと、様々な思惑を持つ者同士が入り乱れ、腹をさぐり合い、敵対しながらも、菊池凛子扮する一人の謎の日本人女性を探し求め、思いがけない結末に至るというサスペンス・メロドラマ。複雑な政治情勢が渦巻く上海を舞台にしていますが、ベースは個々のラブ・ストーリーであり、愛に絡め取られた悲しい男たちの物語という余韻が残ります。ロケ地はなんと、イギリスとタイ。中国での撮影許可がおりなかったということで、上海の街の風景は屋内がロンドン、屋外はタイに建設された巨大なオープンセットで撮られています。そして、黒社会のボスを演じるチョウ・ユンファとコン・リーの夫婦役のゴージャスなこと! 渡辺謙も今やすっかり国際スターとしての風格を醸しています。キャスティング、豪華です。強いていえば、デヴィッド・モースの扱いが軽かったような…。西洋人の眼から見た上海ではありますが、歴史大作というよりは、俳優同士のアンサンブルを楽しむ愛の物語としてお楽しみください。
ちなみに、レジスタンスであるコン・リーの同志役を演じているのはアンディ・オンだと思うのですが、クレジットではなぜか役名と同じユアン・オンになっているようです。
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