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トロッコ（Torocco）
story
ある夏の日、8歳の敦（原田賢人）と6歳の凱（大前喬一）の兄弟は、旅行ライターをしている母・夕美子（尾野真千子）に連れられ、亡くなった父の故郷を初めて訪れる。急死した父の遺灰を届けるため、東京から台湾の花蓮の近くにある小さな村までやって来たのだ。
村では、台北に住む叔父の孟堅（チャン・ハン）夫婦が、母子を迎えてくれた。玄関の前で、いきなり白い顎ヒゲの老人が「親不孝者めが！」と遺灰の箱を杖で叩く。それがおじいちゃん（ホン・リウ）だった。台湾では子供が親より先立つのは大罪だから叩いて叱って家に入れる習わしだ、と孟堅の妻（ワン・ファン）がそっと夕美子に耳打ちして教える。
敦は、亡くなる前にお父さんから手渡された古い写真を大切に持って来ていた。そこに写っているトロッコを押す少年は、戦前のおじいちゃんだった。写真を撮った場所を忘れたおじいちゃんは、敦と凱を連れてトロッコの線路を探し始める。おじいちゃんは日本語が話せる人だった。
よそ者の兄弟は、最初こそ村の子供たちと敵対したものの、すぐ仲良しになり、水かけっこをしてはしゃぐ。お寺に隠れていた時に出会った青年（ブライアン・チャン）は、森で見つけたトロッコに乗せてくれた。それは植林のために使われているトロッコで、青年はその手伝いをしていたのだ。
おじいちゃんたちとの暮らしにすっかり馴染んだ二人だったが、このままここに置いていかれるかもしれない、という不安が少年たちの幼い心を苦しめる。おばあちゃん（メイ・ファン）が病院に運ばれた日、留守番を任された二人は、トロッコに乗るために森へ向かう…。
●アジコのおすすめポイント：
小学生の頃、国語の教科書で読んだ懐かしの短編「トロッコ」が、美しい花蓮や宣蘭の自然を背景に、長編映画として生まれ変わりました。監督は篠田正浩監督や行定勲監督の助監督として腕を磨いた川口浩史。デビュー作にして台湾の豪華スタッフ＆キャストとのコラボレーションをこなし、さらに次回作『チョルラの詩』（6月公開予定）ではキム・ミンジュン、ソ・ドヨン主演の韓国合作と、まさにアジアを舞台に活躍しています。トロッコに乗って遠くへでかけてしまった少年が、心細さと闘いながら一人で家に帰る、というシンプルなお話を、家族の物語にうまく膨らませているところがお見事。ホン・リウ、メイ・ファンといった台湾の名優をはじめ、最近ドラマでも活躍しているチャン・ハン（チャン・チェンの実兄）がいい味を出しています。また歌手のワン・フェン、人気華流スター、ブライアン・チェンも登場し、台湾ファンには見逃せない作品となっています。
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