戦場のレクイエム(集結號)
story
1948年、毛沢東率いる中国共産党の人民解放軍と、蒋介石の国民党軍は、新中国建設の主導権をめぐって激しい内戦を繰り広げていた。グー・ズーティ(チャン・ハンユー)が率いる第9連隊は、淮河の最前線に送られることになる。リウ・ゾーシュイ団長(フー・ジュン)は、第9連隊に旧炭鉱防衛の任務を与え、「旧炭鉱を正午まで守りきれ。集合ラッパを合図に随時撤収」と命じる。これは撤退命令が鳴るまでは、最後の一人まで戦い続けることを意味した。
グーは、気弱だがインテリの元教師ワン・ジンツン(ドン・チャオ)を指導員に指名し、部下とともに進軍する。しかし、物量で圧倒する国民党軍の猛攻の前に、兵士たちは次々と命を落としていった。交戦の合間、大火傷を負ったジアオ小隊長(リアオ・ファン)が「集合ラッパを聞いた」と進言するが、爆音で耳をやられたグーは確信が持てない。意見が割れる中、進言を振り切って突撃を命じたグーだったが、部下47人全員が戦死してしまう。
数日後、グーは国民党軍の軍服を着て病院で発見された。彼は自分が集合ラッパを聞き漏らしたために仲間が全滅したと、自責の念にかられていた。グーは帰郷を命じられるが、再び戦地に赴くために収容先の野戦軍に志願し、若き士官チャオ・アルドウ(ユエン・ウェンカン)の連隊に加わる。1951年。内戦は終結し、新中国は建国されたものの、グーは義勇軍として、チャオと共に朝鮮半島にいた。そして、移動中に地雷を踏んだチャオの身代わりとなり、地雷を爆破させる…。
4年後、地雷の爆発で片目を失ったグーは、淮河の戦場跡地に立っていた。戦死した兵士が烈士として称えられるのに対し、第9連隊の戦友が失踪扱いされていることに、グーは激しい怒りを覚える。夫の行方を捜すワン・ジンツンの妻スン(タン・ヤン)と出会ったグーは、彼女と共にチャオを訪ね、彼の協力で旧炭鉱を探しあてるのだが…。
●アジコのおすすめポイント:
原題は「集合ラッパ」。冒頭では『プライベート・ライアン』や『ブラザーフッド』を彷佛とさせる、リアルで激しい戦闘シーンが続きますが、物語が本筋に入るのはその後から。戦争は終わっても、炭鉱に埋葬した部下たちを発見し、その名誉を回復するまで、主人公の戦争は終わりません。無骨でひたむきな隊長を演じるチャン・ハンユーは、これまでにもフォン・シャオガン作品に顔を出している俳優ですが、本作では味わい深い主役を堂々と好演。その演技は釜山でも大絶賛され、一躍スターになりました。戦争映画ですが、その後の描写はフォン・シャオガンらしく明るい場面もあり、ユーモアも忘れていません。人の心がしみじみと伝わる熱い人間ドラマとなっています。
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