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ブレス

監督・脚本:キム・ギドク
撮影:ソン・ジョンム
編集:ワン・スアン
音楽:キム・ミョンジョン
出演:チャン・チェン/チア/ハ・ジョンウ/カン・イニョン/キム・ギドク

2007年/韓国
日本公開日/2008年5月3日
カラー/ビスタ/ドルビーSRD/84分/R-15
配給:エスピーオー
(c) 2007 KIM Ki-duk Film.

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ブレス(Breath)

story

 真冬のハンソン刑務所。刑の執行が近い死刑囚のチャン・ジン(チャン・チェン)は、鋭い錐でのどを突き自殺を図る。しかし、一刻も早く死のうとする努力もむなしく、彼は声を失っただけで再び刑務所に送り返された。そこには、彼を愛する若い囚人(カン・イニョン)が、彼を温かく包もうと待ち侘びていた。

 夫(ハ・ジョンウ)と幼い娘と一緒に、裕福でモダンな家に暮らす主婦のヨン(チア)。何の不満もないように思えた彼女の人生は、夫の浮気を知ったことで狂い始める。浮気がばれてもまったく悪びれない夫に、激しい怒りとやるせなさを覚えるヨンは、偶然、テレビのニュースで死刑囚チャン・ジンの自殺未遂を知る。彼女は彼に不思議な同情を覚え、彼に会うために刑務所へ向かった。

 昔の恋人だと偽り、ヨンは保安課長(キム・ギドク)の許可をもらってチャン・ジンと面会した。見知らぬ女の突然の訪問に戸惑うチャン・ジンに、ヨンは幼い頃に経験した死の瞬間を告白する。9歳の時、水中で息ができなくなり、5分間、臨死体験をしたのだ。自らの体験を語ることで、ヨンは閉ざしていた心が次第に開かれていくのを感じていた。

 その後、ヨンはチャン・ジンのために、四季をプレゼントすることにする。春には春の壁紙を面会室に貼り、春の服を着て、カセットテープから流れる春の歌に合わせて踊る。夏、そして秋…と、ヨンは定期的にチャン・ジンを訪れては、季節を彼に贈り続けた。それは、何の希望もなかった彼にとって、生の温もりを吹き込むことになっていった。そして、2人には単純な欲望以上の感情が芽生えていく…。

●アジコのおすすめポイント:

死刑囚と面会者との交流というと、昨年涙をそそった『私たちの幸せな時間』が思い出されますが、こちらはキム・ギドク作品だけに、人間の深層心理をえぐるようなドラマが展開します。四季折々の風景と歌で偽りの逢瀬を重ねる二人。そこに女の夫や死刑囚を慕う囚人も絡んで、それぞれにせつない人間模様が描かれます。それをじっと、監視モニターで眺めているキム・ギドク監督にも注目。セリフはなくとも、圧倒的な存在感で死刑囚の心の動きを演じたチャン・チェンが素晴らしく、まさにグローバルな俳優としての大きさを感じさせます。妻の行動にあたふたするハ・ジョンウも、いい味を出してます。

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