王妃の紋章
(満城尽帯黄金甲/Curse of the Golden Flower)
story
中国、五代十国、後唐の時代。菊の節句とも称される9月9日の重陽節、王家の人々が一堂に集まり、永久の繁栄を祈る祝祭の日を前に、遠征に出ていた王(チョウ・ユンファ)と、外地に赴いていた第2王子・傑(ジェイ・チョウ)が王宮に帰ってくる。しかし、そのめでたさとは裏腹に、王宮内に渦巻いていたのは秘密の匂いと不穏な空気だった。
王と王妃(コン・リー)のあいだは、とうの昔に冷え切っており、王妃は継子である皇太子(リウ・イェ)と、かつて長年にわたって不義の関係を続けていた。一方、病気がちな王妃をことさらに気遣い、自ら腹心の宮廷医に命じて特別な薬を調合させる王。それを毎日、決められた時間に、決められたとおりに飲むことが、王妃に課せられた絶対の掟となっていた。
皇太子は、王妃との関係を断ち切りたいと願いながらも叶えられず、ひそかにつきあっている宮廷医の娘・蒋嬋(リー・マン)と王宮から脱出することを夢みている。久しぶりに母親と再会した第2王子は、明らかに衰弱している母の様子を気にかけながらも、病身を押してまで一心不乱に菊の刺繍を続けるその姿に不吉な予感を覚える。
密偵を放ち、自分が飲んでいる薬の中身を突き止めてもなお、王妃は薬を飲むことをやめようとしない。密偵を務めたのは宮廷医の妻・蒋氏(チェン・ジン)。彼女にも、王に恨みを抱く理由があった。誰もが素知らぬ顔で、それぞれ胸に秘めた策略を練り上げていく。それは、王家の中で唯一、汚れを知らない無邪気な存在に思えた第3王子も例外ではなかった…。
●アジコのおすすめポイント:
これほど贅沢に黄金をあしらった映画も珍しいでしょう。王宮も衣装も金、金、金。鎧も金。そして大量の菊の花の黄色。宮廷内の柱に張られているのは、虹色の反射が鮮やかな瑠璃。チャン・イーモウの色彩芸術、ここに極まれりといった風情です。そしてこの演出は、この王族一家の内側に渦巻いているどす黒い陰謀と対極をなしています。コン・リー、チョウ・ユンファはさすがの存在感。特にコン・リーは気迫の入った演技を見せます。これが映画出演2作目となるジェイ・チョウは、本人と同じく母親思いの息子を好演。ラストに流れるジェイの「菊花台」に、悲劇の一族の哀れが浮かび上がります。柱の隅々まで、御堪能ください。
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