風を聴く/台湾・九イ分物語
(傾聴風聲/台湾・九イ分故事)
story
1845年、台湾北部の山あいに水田と茶園を営む農家が九戸あったという。そこから後年、この地は「九イ分」と呼ばれるようになった。
1890年、基隆河で砂金が発見され、金の鉱脈が基隆山のすそ野に広がっていることが分かった。3000人の採金者が集まった。1895年、日清戦争後、台湾は日本の植民地となり、日本の財閥(藤田組)が金鉱を管理するが、台湾の事業家、顔雲年に譲る。以来、顔家(台陽鉱業)が九イ分のオーナーになった。
九イ分はゴールドラッシュとなり、金を求め、鉱夫たちが殺到。東洋一の金鉱となり、抗口の数は155、全長165kmに及んだ。人口も3〜4万人にふくれあがった。街には居酒屋や娼館、映画館、市場が並び、当時は「小上海」「小香港」とも呼ばれていた。
太平洋戦争後、台湾は中国に復帰。九イ分では顔家の台陽公司のもとで金の採掘が行なわれ、再び活況を呈した。しかし次第に金脈が枯渇、1971年に閉山して、人口流出が進んだ。しかし、全盛期につくられた街並が産業遺産となり、美しい自然と相まって独特の雰囲気をかもしだし、芸術家たちも移り住んで来る。そして今では、人々を誘う魅力的な街になっている。
●アジコのおすすめポイント:
季節や時間の変化に応じて、様々に表情を変える九イ分。その魅力はやはり、住んでいる人にしか味わえないでしょう。この土地はまた、金脈が迷路のように入り組み、かつて金鉱の街として栄えたのだそうです。その栄枯衰勢の様子を、この街で生まれ、当時の日本語教育を受けた江さんが、流暢な日本語で語ってくれます。今は金鉱博物館のガイドを務める江さんと、その仲間たちで語られるエピソードは、なかなかユーモラス。かなりのイケメンだった江さんの青年時代も紹介されます。きっと九イ分に行きたくなりますよ。
▼公式サイト 閉じる
|