消えた天使(The Flock)
story
18年間も性犯罪者を追い続け、数々の規則を破ってきた管理官のエロル・バベッジ(リチャード・ギア)は、公共安全局からの引退を間近に控えている。長年、多くの犯罪者に囲まれて過ごし、野獣の群れを追跡することで、心身ともに消耗していたバベッジは、精神的にギリギリまで追い詰められていた。
引退まで18日となったある日、後任として赴任したアリスン・ラウリー(クレア・デインズ)のトレーニング中に、若い女性が帰宅途中に行方不明となる事件が発生する。誰もが否定するなか、彼だけは確信していた。犯人は、彼が追い続けていた犯罪者たち(Flock)だと。
アリスンは、バベッジに同行して性犯罪者たちを訪れ、彼の強引な管理のやり方を学んでいった。そして、平和な日常生活のすぐ隣に、奇妙でおぞましい世界が存在していることに気づき始める。同時に、事件の糸口を捜して、取り付かれたように新聞記事をマーキングするバベッジの姿に、彼が仕事熱心なベテラン管理官なのか、精神バランスを崩しつつある異常者なのか、わからなくなっていた。
誰もが聞く耳を持たない中、バベッジは、失踪事件の背後には必ず犯罪者たち(Flock)がいると力説する。手遅れになる前に女性を救うには、彼らを調べるしかないのだ。バベッジは、連中のおぞましい性の儀式や、平気で殺人まで行う闇の世界を知りつくしていた。バベッジの話に納得しながらも、アリスンは自分の保身で気持ちが揺れ動くが、最後にはバベッジを信じて、共に行動を開始する…。
●アジコのおすすめポイント:
物語の舞台は、埃が舞うだだっ広いアメリカ南部。摩天楼も港も出て来ませんが、冒頭の空撮アングルやフレーミング、人間心理に寄ったクローズアップや音づかい、デリケートな描写やクライマックスの緊張感など、まさにこれはアンドリュー・ラウ・ワールド。しかし、描かれているのは紛れもないアメリカ社会のダークサイドです。人間の恐ろしい部分が描かれています。本作を観た後で『傷だらけの男たち』を観ると、この作品の経験が随所に活かされているのがよくわかります。リチャード・ギア、渋い俳優になりました。
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