鰐/ワニ(Crocodile)
story
「ワニ」と呼ばれる浮浪者ヨンペ(チョ・ジェヒョン)は、漢江に架かる橋の下に住み、川に投身自殺した人間を見つけると、息絶えた頃に川に潜っては死体から金品を剥ぎ取ったり、死体を隠して遺族に金をせびるような卑劣で粗暴な男。同じ浮浪者の老人(チョン・ムソン)や少年エンボリ(アン・ジェフン)と共に暮らしている。
ある夜、川に身を投げて溺れている女(ウ・ユンギョン)をエンボリに請われて助けたヨンペは、欲望を押さえきれず傍らで眠っている彼女をレイプする。だが、何度犯されても女は逃げず、そのまま老人たちと暮らすようになる。エンボリは彼女ヒョンジョンに母親のような愛情を感じ始め、彼女を虐めるワニを陥れようと策を練っていた。
エンボリはヨンペが乗るオートバイに細工をするが、ブレーキがきかなくなったヨンペは壁にぶつけて難を逃れる。命からがら戻って来たヨンペを老人が手当てし、オートバイも器用になおしてくれた。ヒョンジョンも彼を介抱し、いつしか絵を描くようになっていた。そんな彼女を意識し出したヨンペは、自殺の動機を探ろうと彼女を尾行する。
ヒョンジョンにはジュノという忘れられない男がいた。ところが…。
●アジコのおすすめポイント:
ここから先、ストーリーは大きく揺れ動いていきます。なぜヨンペがこんな男になってしまったのか? 老人は、そして少年はどうなるのか? ヨンペは悪い男だけれども、世の中にはもっと悪い奴らが大勢いて、弱い者を騙したりいじめたりして、すました顔で生きている…というのがひしひしと伝わって来ます。そんな世間に対する怒りや苛立ちの象徴のような男を、まだ若い『悪い男』のチョ・ジェヒョンが荒々しく演じ、後半は次第に変わっていくところが見どころ。清濁合わせ持つ人間像をはかなくも美しく描く、キム・ギドクならではのラストが印象的です。
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