亀も空を飛ぶ(Turtles Can Fly)
story
2003年3月。アメリカのイラク侵攻が間近に迫った頃。トルコとの国境に近いイラクのクルディスタンの村では、開戦の噂に右往左往していた。彼らにはサダム・フセインのイラク軍に蹂躙されてきた歴史があった。今度はアメリカとの戦争に巻き込まれることに、住民は不安を隠せない。この地方は、打ち続く戦乱で星の数ほどの地雷に囲まれている。
利発な孤児のサテライト(ソラン・エブラヒム)は、子供たちを統率して地雷を掘りだしている。国連が買い取ってくれるのだ。戦争の情報を得るため、町に衛星放送のパラボラ・アンテナを買いに行ったサテライトは、予知能力のある少年の噂を聞く。彼なら戦争がいつ始まるかが分かるだろう、と。
村では、ハラブジャから逃れてきた両腕のない難民の少年が次々と地雷の在り処を言い当て、子供たちはいつもの3倍の地雷を掘り出していた。すっかりメンツを潰されたサテライトだが、少年の妹アグリン(アワズ・ラティフ)に一目で好意を抱き、何かと世話を焼こうとする。
いつも小さな弟を背負っているその少女はしかし、いっこうにサテライトに関心を寄せない。彼女の心には消すことのできない傷あとがあったのだ。
●宣伝担当者のおすすめポイント:
イラク戦争という現在進行中の大事件を描いた、37才のクルド人監督による傑作です。戦地の子どもたちの日常をコミカルに描きながら、そこに予知能力を持つ少年や心に大きな傷を持つ少女を登場させ、戦争がもたらす災いを、時に幻想的に、時にショッキングに描出していきます。特に終盤に登場する米軍は圧倒的な臨場感。CNNなどのニュース報道では決して見ることのできない映像が展開します。
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