●韓流ブームについて
今の韓国ブームについて、どう思われますか?
S「ないよりはあったほうがいいんじゃないでしょうか。かつての香港ブームの時とは比較にならないほど大きいことは確かですし、それでアジアに目がいくのはいいことです。」
韓国も知れば知るほどいろんな魅力があるし、新しい発見がありますよね。
S「そうそう。正直、今の香港の芸能は一時の元気がない。今まであたりまえのように中心だった香港が、特に音楽面では元気がありません。そういう意味で、日本の場合はちょっと特殊だけど、韓流ブームというのはそれはそれでよいことだと思います。韓国には今ほんとうに勢いがあります。『冬のソナタ』も、別にNHKが仕掛けたわけじゃなくて、ほんとうに日本のたくさんの女性に支持されたわけですから。」
ドラマといえば、衛星放送などでは他の国のドラマも見られますね。韓国ドラマ人気のようには表面化していませんが、台湾ドラマ『流星花園』*が放映されて、実は台湾のアイドルグループF4*の人気がかなり高まっているという話はよく聞いています。
S「『流星花園』はほんとに面白かった。編集部のスタッフにDVDを見せたら、彼女もすごくはまってました。F4が初めて香港でコンサートを行なった時、漫画家でアジアのアイドル評論家の村田順子さんと一緒にでかけたのですが、香港での記者会見はもの凄い人数でした。各国別の会見も行なわれたのですが、台湾はもとより東南アジア各国とも凄かったです。なのに、日本はほぼ私たちだけ(笑)。質問も最後だったので、彼らを表紙にした『ポップアジア』*を渡しました。その時に『流星花園』のDVDを買って帰り、見た後でその人気ぶりに納得したんですよ。行く前に見ろって(笑)。
コンサートも凄かったです。大陸公演の評判が今ひとつだったので、香港公演は心配されていたのですが、ちゃんと香港スターのコンサート風に再構成されたアイドルライブに仕上がっていて、それはそれでよかったと思います。」
●ポップアジアのこれから
雑誌を作っていく上で、辛いことはありますか? 隔月刊ですが、どういうサイクルで動いておられるのでしょう?
S「辛いのは最後の2日くらいですね。徹夜になるので。前の号が終わりそうな頃に、次号の予告を出さなければならないので、その時に『次は何をやろうか?』と話し合い大筋だけ決めます。締切り1ヶ月前に、進行具合をチェックして大雑把なページ割りをし、さらにマイナーチェンジをしていって…という感じです。
取材は最初の1ヶ月ですませるようにしています。残り3週間というところで原稿チェックに入り、最後の2週間で仕上げ。ここがきついけど、やることが決まっているからそれをやるだけ。一段落したら、2週間くらいは気分転換をします。やれなかった他の仕事をしたり、人と会ったり。でもそろそろ、後任を育てる意味でも、体力のある若い編集者が欲しいかな。」
今まで続けて来てよかったこと、うれしかったことは?
S「読者の方からのハガキで、伝えたかったことがちゃんと伝わっていたのがわかると一番うれしいです。」
これからの『ポップアジア』は?
S「今までと変わらず、アジアのエンタメがもっと日本で広がるように、やっていけたらいいなと思います。自分が今一番やりたいこと、スタッフが今一番やりたいことをページにしていけば、それが読者にも伝わる。やってる人が仕事だと思ってやってると、それが伝わってしまいます。やってる人がすごく楽しんでやっていれば、きっといいページになる。楽しんで作るのが一番です。」
作り手の思いが正しく表現されていけばいいと?
S「そういう風に信じていくしかない。アジアを好きな人には、アジアをやってくれてありがとうという気持ちがあるので、ポジティブな感想がほとんどなんですね。そういのがすごくうれしいし、それがずれていきたくない。だから、自分が歳をとってきたなあと思ったら、若い人にも入って欲しい。それと、どこかで一般誌じゃないものを見せていきたい。そういうこだわりは持っていたいと思います。」
(2004年7月30日 渋谷エクセルホテル東急のカフェにて)
今年からスタートした『TAM(東京アジアミュージック・マーケット)』のイベントや、9月にシネシティ香港の飲茶倶楽部主催で行なわれた「リッチー・レン来日記念パーティ」でも司会をつとめるなど、アジア関連のイベントでも大忙しの関谷さん。「自分が楽しんでやる」という姿勢が、いつものにこやかな笑顔とパワーの源になっているのだと思いました。
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