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asicro interview 66

更新日:2015.1.24

p5 ジャパンプレミア修了後のミニ会見で「好きな日本のプロ野球選手は?」と尋ねられ、ヨウニンくんは「イチローさんと西岡剛さん(阪神タイガース)」、ジンホンくんは「ずっと王貞治さんに憧れています」と答えていました。

Q:他の選手役の方たちは野球経験はあっても、お二人ほどのキャリアではないと思いますが、お互いに教えあったりしたのですか?

 ヨウニン「一番大変だったのは、ショートの上松耕一役を演じたジョン・ヤンチェン(鐘硯誠)ですね。彼は野球選手ではなくてゴルフプレイヤーなので、野球はあまりできないんです。撮影前の2ヶ月のトレーニングで、すごいショートになるのはまず不可能なので、彼はとても苦労したと思います。でも、できるショートに見せなければならないので、彼が失敗した時は皆でいろいろと励ましたり、テクニックを教えたりしました」

 ジンホン「中継ぎで外野からボールを投げるシーンとか、やはりレベルが違うと、うまくキャッチできなかったり、止められなかったりといろいろあるので、その辺は協力しあって頑張りました」

Q:最初の方では、野球が下手な演技もしなければなりませんでしたね?

 ヨウニン「とても難しかったです。たとえば、ヒット・エンド・ランですが、ヒットを打ったら必ず走ってちゃんとベースに立っている、というのが身体の中にしみついているので、僕は自然にできてしまうんです。監督からは『もっと下手にやってくれ』と言われて、打ってもぼんやりと立っている演技をしたりして、大変でした」

●自分の演じたシーンについて

Q:ヨウニンさんは初恋のシーンがあり、阿静と自転車で二人乗りをしている時、阿静が立ちあがって手を広げるシーンがあります。あのシーンの撮影は難しかったのでは?

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(c)果子電影
 ヨウニン「あれは撮影が始まって、僕の最初のシーンでした。あの自転車は骨董品で、今の自転車ではないので、漕ぐのがすごく難しいんです。バランスがすごく取りにくくて、ちょっと油断するとふらふらして転んでしまいます。その上、田んぼの中のでこぼこ道で、石ころばかりの所を漕がなくてはならず大変でした。

 阿静も大変だったと思いますね。自転車の上に立って、手を開かなくてはならないので。だから、撮影の最初の頃は、二人でかなり練習しました」

Q:合成ではなくて、阿静はほんとうにやっていたのですか?

 ヨウニン「そうです。彼女はほんとうに立ち上がって、両手を開きました。編集ではなく、ほんとうにやっています。もちろん練習はしましたが、ライブです(笑)」

Q:ジンホンさんは、雨の中の泥だらけのスライディングが大変だったのでは?

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 ジンホン「あのシーンは前半がすごく大変だったんです。スライディングの前に、監督に何度も走らされました。監督から『足が遅い。もっと速く走れ』と言われて、あそこでスライディングをやるのは難しかった。後半はカット割で細かく撮っていったのですが、実際に連続してやっているような雰囲気を出すのもとても大変でした。実はあのシーンは、撮影前にも何度か練習したんですが、成功したのは、何回もやった内の数回だけでした」

●撮影後のチームメンバー

Q:お二人は普段も会ったりするのですか?

 ヨウニン「彼は嘉義大学で、僕は台北にいるので、機会がありません。でも、不思議なことに、お互いの父親が昔、知り合いだったんです。だから、僕らは小さい頃、まだ覚えていないくらいの頃に会っていると思うんです。撮影前に初めてトレーニングに行った時はとても緊張したんですが、チェン・ジンホンの顔を見た時に、一人だけ知り合いがいてよかったと安心しました(笑)」

 ジンホン「僕は最初からトレーニングしていたんですが、彼は後から遅れて入って来ました。監督から『知ってる人じゃない?』と言われて、まさかあのヨウニンが来るとは思っていなかったので驚きました。偶然ですが、よかったです(笑)」

 ヨウニン「縁があるんだね(笑)」

Q:撮影後、チームの皆さんと会うことはあるのですか?

 ジンホン「今はバラバラですね。皆、いろんな所から来ていたので。それぞれ自分の生活に戻って忙しいので、なかなか会う機会がありません」

●悪いやつを演じてみたい!

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 やっと場が和んできたところで、残念ながら終わりの時間が迫ってきました。若い二人なので「好きな食べ物は?」「好みの女性のタイプは?」といった質問がよかったのかもしれませんが、それは他でのインタビューに譲るとして、最後は映画に関する質問をしてみました。

Q:ヨウニンさんは野球だけでなく、俳優も続けていきたいと聞いていますが、ジンホンさんは先ほどのミニ会見で映画はこれが最後かもしれないとおっしゃっていました。もし、俳優を続けているとしたら、どんな役柄を演じてみたいですか?

 ヨウニン「悪い人。銃を持ってバンバン打つような役(笑)。アクション映画です」

 ジンホン「(いろいろ考えてから)殺し屋(笑)。クールだから」

 と、二人とも意外な答え返ってきました。寡黙な蘇くんのイメージから「ジンホンさんは、時代劇が似合いそうですね?」と言うと「ちょんまげのハゲた人?弁髪?」と笑いが。いえいえ、かっこいい武士ですよ。「ヨウニンさんはSFとか近未来ものが似合いそう」と言ってみると「ドラえもん!」という声も。最後は男の子らしい笑い話で盛りあがりました。

 以上でインタビューは終了。それぞれ、単独でもっと突っ込んだお話も聞いてみたかったのですが、二人ともきっと野球の世界でよりいっそうの活躍をされていくことでしょう。でも、機会があれば、ぜひまた演技にも挑戦してもらいたいと思います。

(2015年1月15日 ヤクルトホールにて単独インタビュー)


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●back numbers
profile:チェン・ジンホン
チェン・ジンホン
陳勁宏/Chen Jing Hong


1993年12月20日、台北生まれ。嘉義大学野球部在籍中。小学校から野球部に所属。数々の大会に出場している。左投左打。守備は投手、内野手。

*公式Facebook
baseball career
2012年
嘉義大学男子野球チームのレギュラーメンバーに昇格
filmography
長編作品
KANO
 〜1931海の向こうの甲子園〜

 (14)
蘇正生選手とは?
KANOチーム
センター/2番バッター
漢民族(1912-2008)

甲子園のフェンスにアジア人として初の打球を当てた強打者。嘉義農林卒業後は、横浜専校(現神奈川大学)へ進学。その後は、嘉義実業団に入る。戦後も台湾、特に南部の野球発展に大きく貢献している。

本作の製作にあたり、存命中にウェイプロデューサーらのインタビューを受けている。