logo


ASICRO FOCUS file no.196

『KANO 〜1931海の向こうの甲子園〜』ジャパンプレミア舞台挨拶

 司会「ツァウ・ヨウニンさんは、21歳以下の野球台湾代表として出場した昨年のワールドカップで、見事、チームを優勝へ導き、大会ベスト9にも選ばれたという、素晴らしい成績を残されています。(会場から大きな拍手)大会出場については、周りからは『KANO』の出演者としても注目されたと思いますが、いかがでしたか?」

p3

舞台挨拶の最初の頃は、やや緊張した面持ちの二人。
さすがに野球選手だけあって、手が逞しい!

 ヨウニン「(代表選手として)ノミネートされた時はとてもプレッシャーを感じました。『KANO』に出たから人気があって選ばれたんじゃないかと、自分で自分を疑ってしまったのです。でも、よく考えて、自信を取り戻しました。この映画でしっかりと演じられたこと。そして、小さい頃から野球で頑張ってきたこと。この2つが自信を取り戻させてくれ、自分の実力で選ばれたんだと思えるようになりました」

 司会「ほんものの野球チームのようなチームワークがあったと聞いていますが、皆さんは野球に対してどんな気持ちで挑んでおられたのでしょうか?」

 ジンホン「僕ら自身、皆、野球経験のある野球選手なわけですが、それを映画で演じるとなると大きなプレッシャーがありました。演技の点ではあまりうまくできないかもしれないと、ずっと心配で不安でした。監督に怒られるかもしれないし。技術的なことでも、小道具ですが、実は昔のグローブを使っています。昔風のグローブで、今のグローブは使えません。そういうこともあって、うまくいかないこともありましたが、野球選手としてのプライドを賭けて、野球のシーンはうまくやろうと一生懸命頑張りました」

 司会「Rakeさんは、この主題歌をどんな気持ちで作られたのですか?」

p5

主題歌への思いを熱く語るRake
 Rake「2014年2月に台湾で公開になっているので、ウェイさんからお話をいただいたのは、それより半年くらい前、2013年の夏の終わり頃だったと思います。その時は、撮影は半分くらい進んでいて、脚本はもちろんできあがっている状態でした。だから、僕はまず脚本とすでにできいる映像を見させていただいて、曲を書こうとスタートしました。ところが、インターネットでやりとりをしたんですけど、1曲書くたびに『いや〜、こういう曲じゃないんだよね』『ちょっと、違うんだよね』と。最初は僕も迷いの連続でした。

 僕自身も野球をやっていたのですが、とにかく野球っていうのは一人一人の強さももちろん必要だし、それがチームになることが必ず必要です。そこで、例えば1つになってランニングしている様だったりとか、高く打ち上がったボールを追いかける様だったりとか、野球から得るフィーリングを大切にしながら、日本タイトルは『風になって』とつけさせてもらいました。台湾タイトルは『勇者的浪漫』で、これはウェイ監督に考えていただきました。

 実際のレコーディングでは、台湾のスミンくん、ファン・イーチェンくん、ルオ・メイリンさんと5人で歌ったんですよね。僕は、その時は北京語がまったくわからない状態だったので、日本語で書いたサビが最後に北京語に変わるんですが、どういう響きになるのか、どういうニュアンスになるのか、ドキドキワクワク。ちょっとだけ不安もあったんですけど、それも音源をやりとりしていく中で、素晴らしい北京語の歌詞と、スミンくんが考えてくれたアミ族の素晴らしいメロディが最後にのって、音楽の部分でも日本と台湾のフィーリングが合体して曲が作れたのではないかと思います。僕が最初に書いた段階からは、はるかに想像を超えたアジアな曲になっています」

 司会「中さんは台湾のプレミアで歌われましたね。台湾では大ヒットしていますが、反響はいかがでしたか?」

p6

主題歌を歌った中孝介
 「僕はウェイプロデューサーの最初の映画『海角七号/君想う、国境の南』に本人役で出演させていただいて、今回は主題歌という形で、またウェイさんの映画に携わらせていただきました。嘉義市の街をパレードして、嘉義市をあげてのイベントだったんですが、最後に野球場で特設スクリーンを作り、嘉義市の皆さんと一緒に上映会をしました。その時は、ウェイさんもこの何年かで、こんなに偉大な方になったんだなあとすごく感じました。映画が終わってから、Rakeや台湾の3人と一緒に野球場で主題歌を歌わせていただいたんですが、最初は日本語で歌って、最後の方で北京語に変わるんですね。その瞬間に、観客からワア〜ッ!っと、北京語で歌ってくれた!みたいな反響があって、それが嬉しかったですね」

p10
 ここで、Rakeさんと中さんから主題歌「風になって/勇者的浪漫」のライブステージが披露されました。ステージ袖で感慨深げに聴いていたゲストの皆さんは、途中から歌に合わせて両手をあげ、左右にゆらゆら。会場からは一緒に歌うファンの声も聴こえ、歌と会場が一体となった素敵なひとときでした。
(*主題歌「風になって/勇者的浪漫」は1月21日にEPICレコードより発売中です。)

 司会「永瀬さん、久しぶりにお聴きになったと思いますが、いかがでしたか?」

p11
 永瀬「先ほども中さんがおっしゃいましたけど、嘉義市での試写会の時に、すごくたくさんの方に来ていただいて、カウントできただけでも6万人?…もしかしたら、10万人くらいの方がいらっしゃって、そこで生でお聴きしたんですね。その後、初日に高雄の球場でもやったんですけど、その時は宣伝部のスタッフもいっぱい来てて、この曲を大熱唱しながらやってたんですね。それをすごく思い出して、自分たちの映画を主題歌に乗せてすごく愛してるんだなというのが伝わって、ちょっと泣きそうになって…。今も、ちょっと泣きそうになったのをごまかして、手を振ってました(笑)」

 ここで、永瀬さんには内緒のサプライズプレゼントが。

 司会「実は本日、日本にお越しになれかった台湾の嘉農の生徒の皆さんから、永瀬さん宛にお手紙が届いております。ツァウ・ヨウニンさんとチェン・ジンホンさんがメッセージを持っていらしたんですが、たくさんある中から、大江先輩役を演じられたチェン・ビンホンさんのお手紙を、ツァオ・ヨウニンさんに代読していただきます」

 ヨウニン「監督、お久しぶりです。今回は日本に行くことができず、お会いできないのが少し残念ですが、僕は今、アキラと同じ大学のアキラの後輩として頑張っています。僕はピッチャーなので、あまりアキラと一緒になる機会はありません。僕らの試合があって、それに僕が出場した時は、監督、ぜひ応援に来てくださいね。

p12

 それから、僕はとても演技が好きになり、もっと続けたいと思うようになりました。僕はあまり演技がうまくないけど、頑張ります。頑張って、もっと多くの人に僕の演技を見てもらいたいなと思っているので、もし、これからそういう機会がほんとうに来たら、しっかり頑張ります。もしご縁があったら、その時はぜひ監督とまた一緒に映画をやりたいと思います。監督にいっぱい勉強させていただきたいと思います。新年になりました。どうぞ、監督にとっていい年でありますように。大江先輩役のチェン・ビンホンより」

p13

 ツァウ・ヨウニンくんとチェン・ジンホンくんから、永瀬さんに手紙の束が渡されます。思わず、感無量になる永瀬さん。泣きそうになるのを堪えながら、

 永瀬「あの…これから観ていただけばわかるんですけど、僕は映画の中で『泣くな、泣くな』と言い続けています。ここで僕が泣くわけにはいかない」

 感動の場面に続いて、フォトセッション。この日は会場の皆さんも撮影可ということで、スマホや携帯でじゃんじゃん撮影していただき、ブログやFacebookなどでの宣伝隊になっていただきました。

p14

 司会「では、最後にメッセージをお願いします」

 マー「永瀬先輩に、映画とはどういうものか?と尋ねました。どこに終わりがあるのか?と。それは観客の目のところにあるそうです。おっしゃる通りだと思います。この映画には我々の努力、気持ち、真心がたくさんこもっています。映画をご覧になって、ぜひKANOチームの一員になってください。そして、たくさんの皆さんを映画館に連れてきて、また一緒に観てください」

 ウェイ「私自身、この映画を何度も観ましたが、はっきり言って絶対飽きません。映画を観て、もしほんとうに気に入ってくださったら、我々のためにこの映画を宣伝してください。それから、これから3時間、映画をじっくりご覧いただきたいので、その前に1度トイレに行ってください(笑)」

 永瀬「(感無量の表情で)台湾の皆さんに感謝です。素晴らしい台湾映画に出演させて頂いて、ほんとうにうれしく思っています。こんな…温かい…子どもたち…(とうとう涙で声にならず)……うれしいです。1月24日、ぜひ初日にまた、皆さんお会いしましょう」

 会場の皆さんも感無量になりながら、舞台挨拶が終了。そして、いよいよ本編の上映です。その間はロビーを使ってのミニ記者会見や、様々な媒体との個別取材が行なわれました。そして約3時間後、映画が終了するとホールから割れんばかりの拍手喝采が! お見送りでスタンバイ中のゲストの皆さんも満面の笑顔になり、ガッツポーズが出ていました。そして、感動して出て来られた観客の皆さんと、握手をしたり、言葉を交わしながらお見送りしていました。

p15

 『KANO 〜1931海の向こうの甲子園〜』は1月24日より、新宿バルト9、他全国でロードショー公開予定です。


前頁を読む P1 < P2 ▼12.1 記者会見 ▼作品紹介
▼マー・ジーシアン監督 ▼ウェイ・ダーションプロデューサー ▼ツァオ・ヨウニン&チェン・ジンホン


更新日:2015.1.23
●back numbers
●舞台挨拶の表記

司会
永瀬(永瀬正敏)
坂井(坂井真紀)
ヨウニン(ツァウ・ヨウニン)
ジンホン(チェン・ジンホン)
マー(マー・ジーシアン)
ウェイ(ウェイ・ダーション)
Rake(Rake)
(中孝介)
舞台挨拶修了後のミニ記者会見

Q:永瀬さんは先ほど「泣くな!」とご自身の中で思っていたと思うんですが、ご挨拶が終わって感想はいかがですか?

永瀬「知らなかったんですよ。子どもたちがいろいろと書いてくれているのに、ぐっときてしまって。台湾ではずっと、勝っても泣くな、負けても泣くなと言い続けてきたんですが…(笑)」

Q:昨年2月に台湾で公開されて、やっと日本公開ですが、今のお気持ちは?

ウェイ「とてもうれしいですね。この日が来るのをずっと心待ちにしていました。今日もたいへん緊張していました。とにかく、この映画を通して、日本の皆さん、そして台湾の皆さんに1つ知ってもらいたいことがあります。実はこの映画は、ほんとうに台湾と日本の観客のための映画なんです」

マー「僕もウェイ監督と同じように興奮しています。僕もこの日を心待ちにしていました。僕個人にとっては、この映画を撮ることによって、この業界で大きな一歩を踏み出したということで、大変意義の大きいことです。本日はこのように大規模なジャパンプレミアを行なうことができて、この映画の制作チーム全員、そして台湾の観客の皆さんのおかげだと思っています。この映画をご覧になって得た感動が、日本でもどんどん広がっていけばと思います」

Q:日本の甲子園に台湾代表チームが出場していたという歴史的事実を知らない人がたくさんいるのですが、この映画が作られた意義、また日本で公開される意義をお話ください。

ウェイ「私がこの物語に出会ったのは40歳の時でした。ほんとうに偶然の出来事だったのですが、資料をリサーチする時にこの物語と出会いました。台湾はとても野球の盛んな所なのですが、台湾野球の歴史にこんなに素晴らしいスタートがあったことに、すごく感動しました。

いつも思うのは、歴史上のいろんな出来事や人物は、永遠に歴史の中で刻まれるべきことだということ。この物語は僕にとって撮らなければならないものと位置付けました。台湾は野球の大好きな国で、100年が経っても未だに野球に対する熱狂があります。だから、ぜひ映画にしようと思ったのです」

Q:日本の方にどんなところを観てもらいたいですか?

ウェイ「とにかく、リラックスして映画館に入り、映画を観て感動して帰ってもらいたいですね。事前の準備は何も要りません。映画をじっくり観て欲しいです」

Q:ヨウニンさんとジンホンさんは演技で迷った時、監督や永瀬さんにアドバイスをもらったりしましたか?

ヨウニン「僕らにとっては初めての演技だったので、すごく緊張したし、プレッシャーも大きかった。でも、そういう時、マー監督はけっして怒鳴ったりしませんでした。うまくいかなくても激励するような感じで、僕らがうまくできるよう導いてくれました。怒鳴ると余計に緊張してうまくいかないと思い、そうされたんでしょう。

永瀬さんの演技を間近で拝見していると、とても楽しい気分になりました。永瀬さんの芝居によって、僕らをあの時代に引き込んでくれる、連れて行ってくれるような感じを現場で受けました」

ジンホン「僕もヨウニンも初めての映画出演だったので、最初はなかなかマー監督の思い通りにいきませんでした。マー監督が不満そうにしていると、どこが悪いのか最初はわからなかったのですが、だんだんと監督の欲しい感覚がどんな感じなのか、僕らにもわかってきました。

永瀬さんの演技を拝見して、現場で感動していました。永瀬さんがあの時代に連れて行ってくれるような感じで、今回この映画に参加できてよかったです。一生で一度きりかもしれないけど、こんな経験をさせていただいてとてもラッキーでした」

Q:日本のプロ野球選手で知っている選手や好きな選手がいたら、教えてください。

ヨウニン「僕は小さい頃からずっと鈴木イチローさんが大好き。イチローの大ファンでした。それから、選手だと西岡剛さん(阪神タイガースの内野手)が大好きです」

ジンホン「僕が小さい頃からずっと憧れていたのは、王貞治さんです。王さんは、素晴らしい記録を打ち立て、素晴らしい活躍ぶりをされました。僕にとってはずっと一番なんです」

マー「実は撮影を始める時に、王貞治さんにインタビューをしました。王さんからはいろんなアドバイスをいただき、とても参考になりました」

Q:坂井さんはいかがでしたか?子どもたちがかわいかったですよね?

坂井「そうですね。二人ともかわいかったですね。台湾の子どもたちなんですけど。(永瀬さんと目を合せながら)自分たちの子どものように、メロメロでした(笑)」

*以下は、台湾メディアから

Q:台湾で長い時間を過ごされたと思いますが、ご感想は?

永瀬「かたことですけど、日本語で話しかけていただいて、心の大きさというかそういうのにとても感動しましたね。僕は日本語しゃべれるよ!て、撮影を観にきてくださるおじいさんもいて、いろいろ考えることはありますが、うれしかったです(笑)」

Q:これからも、台湾と日本の絆を結ぶ映画があれば、参加していただけますか?

永瀬「(力強く)それは、もちろんです。ウェイさんの次回作、マー監督の次回作には手弁当で行きたいと思います」


This Moment:永瀬正敏的KANO映像

This Moment:
永瀬正敏的KANO映像

*台湾で発売された永瀬正敏のメイキング写真集