プレミアイベント終了後、引き続き、希望媒体による囲み取材が行われました。映像媒体向けの進行で、回答もほとんどが武田鉄矢さんだったのですが、興味深いお話も出たので簡単にご紹介します。
ヒット祈願の鏡開きをする武田鉄矢(左)とリン・チーリン(右)
Q:20数年を経て、しかも外国での映画化ですが、いかがですか?
武田「自分でも驚いていますが、とても光栄なことですよね。20何年前に終ったドラマが、終らずにネバーエンドで外国まで行って、また別な花を咲かせているということに関しては、ほんとうにいい作品に恵まれたとつくづく思います」
Q:設定は同じで、しかも武田さんは星野達郎役。20数年後に、またこの役を演じた感想は?
武田「やはり不思議な気持ちでしたよね。中国の様々な所から集まったスタッフが、この物語が好きで、僕が参加すると、やっぱり皆、緊張するんですよ。その緊張のし方が、ありがたくてね(笑)。カメラチームは台湾なんですよ。日本語で『もうちょっと、右お願いできますか』とかね。その彼らが使う日本語の中に、俺たちはアジアという国際社会の中で映画を作っているんだという緊張が、非常にいい雰囲気でした。
僕は日本語で演じてて、彼女(チーリン)は日本語ができる。でも、僕は中国語ができない。もう一人のホアン君は日本語ができない。で、2人だけで最初は飲んでるんです。でも、なんか気が合うという…。このホアン君が、なかなかいい青年でね。何を思ったのか、ず〜っと鼻歌でドラえもんを唱ってるんですね。(「フフフ」と笑うチーリン)私に対するサービスなんですよ。タン・タ・タン・タ・タン・タ・タン♪ て言いながらず〜っと(笑)…その時に、彼の好意みたいなものを、すごく感じたんですよね」
Q:リンさんは武田さんと共演していかがですか?
チーリン「ほんとに光栄です。アイドルだから(笑)」
武田「私はアイドルなんですよ。これでもね。ずいぶん長い間、憧れてくれていたみたいで。台湾では金八先生なんかも流れてるんで、結構、私、人気あったんですよね」
Q:イメージとしては星野達郎?それとも金八先生なんですか?
チーリン「両方です。フフフ…」
武田「両方ですか」
Q:この映画をどんな方に見てほしいですか?
武田「その前に、中国の事情を説明しておこうと思います。中国ってひとまとめにするのは、僕はあんまり好きじゃないんですよね。映画を作る時もそうですけど、様々な人たちなんですよね。たとえば香港の照明さん、カメラは台湾、段取りは北京、現場は上海、それぞれのエリアの中国の人たちがプライドを持ってやってるんですよ。それが僕はすごくわくわくして、なんか一種、『三国志』の世界なんですよ。簡単に中国ってひとまとめにはできない。
その中で、すごく面白かったのは、僕が一番最後に汚〜い中国語で、ホアン君に『カ〜ユ〜』ってつぶやくんですよ。それは頑張れっていう意味で、『加油』って書いて『カ〜ユ〜』で、頑張れっていうのをちょっと知ってたんで。そのアドリブを言った瞬間に、ホアンくんが発音を変えたんですよね。何だっけ?」
チーリン「ジャ〜ヨウ!」(これが正しい中国語発音です)
武田「『ジャ〜ヨウ』にしてくれって言うんです。で、同じ意味だから『ジャ〜ユウ』にしてくれって言うんで、おかしいなと思ったらどうも…(チーリン「ジャ〜ユウ、ジャ〜ユウ(笑)」)察すると、それが田舎の方言みたいなんです。だから、僕が日本語で『頑張れ』って言いたいところを、ホアンくんが僕の頑張れをいじって『頑張っぺ』にしてくれっていう、それがね。中国の映画館ではドカ〜ンとウケるんですって。それが、現場でもそうなんです。皆、ゲラゲラ笑ってるんです。
日本から来た星野達郎がバーで2人と会うシーンはこんな感じ
(c)2013 NCM FUJI VRPA HAM
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何がおかしいかというと、ここに中国版『101回目のプロポーズ』の芯があるんですけど、上海に出て来たホアンくんは田舎の青年なんですよ。安い労働力で大都会の上海で生きている、格差社会のせつなさを生きている中国青年の代表なんです。それが、こんなに美しい美女に恋をしちゃうんです。そして、僕が訛りで『頑張っぺ』みたいな、山東省の言葉みたいなのを使う。それが、中国の青年にはたまらない、愉快と励ましになっているらしいんですね。
中国では『嫁さんだけは分相応にしとけよ』ていうような大人の諺があるそうです。ところが、あの映画は『分相応なんか忘れっちまえ』ていう、この世界で一番好きな人に愛してるって言いなさいって。だから、映画を見た山東省とか四川省の兄ちゃんたちは、はりきって映画館を出て来るらしいんですよ。つまり恋の事情っていうのを、やっぱり台湾の監督さんが非常にうまいこと捉まえられたみたいで、力が湧いて来るんですねえ。
だから、その意味でも、ラブコメディカンフー映画なんですよね(笑)。なんか見ると、俺もやるぞ!っていうファイトが湧いて来るんでしょうね。でも僕は、田舎の青年がこんな美しい美女に恋をして、恋を成就させるっていう展開が、いいなあと思いますね。やっぱり、映画は社会のどこかを反映してるんですよね。
エンドロールでは、僕と浅野さんのスチールなんかもたくさん使ってくれてるんです。本家はここですよって。これは日本のドラマで、私たちはリメイクしましたって、高らかに宣言してるんですね。そのことに関して、ほとんど中国の青年たちに抵抗がないそうですよ。だからやっぱり、いろいろあるかもしれませんが、レインボーブリッジでありたいですよね」
では、最後にメッセージをお願いします。
武田「中国の若者たちが大変な拍手でこの映画を見てくださいました。日本にも恋に自信をなくした若者がいるならば、ぜひこの美しいリンさんとの恋物語を夢見るこの映画を見ていただきたいと思います」
チーリン「日本の皆さん、『101回目のプロポーズ』ぜひ観てください」
22年前というと、さすがに記憶もうろ覚えですが、この映画を観ると新たな設定であるにも関わらず、ああそうだった、こうだったと、ドラマの様々な名場面がよみがえります。それは不思議な感覚なのですが、エッセンスがそのままぎゅっと凝縮されて、見事に上海が舞台の素敵なラブストーリーに仕上がっています。あらためてオリジナルドラマを見てから本作を観ても、別な発見があって面白いかもしれません。主題歌も中国の人気歌手リー・ダイモー(李代沫)がカバーしています。あの感動を再び、ぜひ劇場で味わってください。
(2013年10月9日 ホテル日航東京にて)
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