●『Scandal』について
「Scandal」はインパクトのある曲ですが、アルバムのコンセプトは? 1曲目の「Scandal」の作曲を依頼する上で、どのような注文を出しましたか?
ヴァネス「ハイ・エナジーなものにして、聴いた時にインパクトを与えるようにしました。アルバムの最初に来る曲ですから、今回のコラボレーションの特色を出すために、大きなインパクトを持たせたかったんです。アルバムや僕たちに、聴く人を引き込む力を持たせようとしました。曲作りの段階では、Rapの部分は自分で書いてもいいかと聞いたら、好きなようにやっていいと言われたので、実際に製作にも参加できて、自分としても思い入れの深いものになりました」
カンタ「作曲家(ユ・ヨンジン)の方には、まず強いイメージ、強さを強調して欲しいというのが1番目。いろんな方に好感の持てる音楽、例えばクラブで聴いたり、車の中で聴いたり、どこでも楽しめる音楽、いろんな方に聴いてもらえる音楽であることが2番目。そして3番目は、今までの音楽とはまったく違うカラーであること。この3つの点を強調しました。アジアのいろんな国で聴いてもらうので、言葉の違いはありますが、その違いを超越して、いろんな国の方たちにいろんなところで楽しんでもらえる音楽をお願いしました」
●音楽シーンについて
カンタさんはK-popの世界で、ヴァネスさんはC-pop の世界で活躍されていますが、今回一緒に仕事をしてみて、それぞれに違いは何だと思いますか?(これはアジクロからの質問)
カンタ「K-Popは変化が速く、特にこれが韓国の音楽と決まっているものはありません。それに比べて、中華圏の音楽は新しいものを取り入れつつ、古いもの、よいものは残すという特徴があると思います。今回、僕たちがやったものには、その両方がうまく組み合わさっていると思います。そこが魅力になっていればと期待しています」
ヴァネス「韓国の音楽はたしかに変化が速く、常に変わっているし、常に熱くて、次はどの方向へ向かっているのかわかりません。台湾のポップシーンは…うーん…なんていったらいいか…(かなり考えながら)基本的に、ターゲットの対象がかなり若いように思います。(「ウン」とカンタも頷く)そこに難しさもあります。韓国には、深みのあるミュージック・ビデオがたくさんあって、ドラマのようなストーリーラインもあるし、K-Popのそういうところが気に入ってます」
と通訳されている間に、「これ電池がないよ」と目の前のテレコを心配するヴァネス。手にとって縦に置いたり、寝かせたり。カンタも面白そうに日本語で「スイマセン、ダイジョウブデスカ? ヨロシクオネガイシマース」とテレコに向かって囁いていました(笑)。カンタって日本語がかなり上手い!
●周囲の反応とこれから
ふたりで動き始めた訳ですが、それぞれの周囲の方の反応はいかがですか?
カンタ「H.O.T(ムン・ヒジュン、チャン・ウヒョク、トニー・アン、イ・ジェウォン)のトニーからは、とてもよかったと連絡をもらいました。知り合いや友だちにも好評です。Sのメンバーたち(イ・ジフン、シン・ヘソン)は、自分たちも仲間に入れてくれと言ってます。韓国の多くの歌手たちは、今回の僕たちのユニットを羨ましがっています。これからは、韓国の他の歌手たちも、アジアの国の人たちとのユニットが増えて来るでしょう。日本の歌手と韓国の歌手、中華圏の歌手など、いろんなユニットが出てくればと思います」
ヴァネス「最初にこの話を聞いた時は、とても素晴らしいアイデアだと思ったし、他のF4(ジェリー・イェン、ヴィック・チョウ、ケン・チュウ)のメンバーたちも、それはいいアイデアだねと言って喜んでくれました。実際にカンタとの仕事が始まると、もっといろんなコラボレーションができるね、という話になりました。例えばSとF4とか、他の誰かとか…。誰もがこのプロジェクトを支持してくれました」
それを聞いたカンタが英語でヴァネスに「個人的には、カンタ&ヴァネスだけがいいな」(会場笑)
今後の活動で具体的に決まっていることはありますか? 9月には北京コンサートの話が出ていますが。
カンタ「よい仕事があれば積極的にやっていきたいです。北京でのコンサートについては、まだ具体的なスケジュールは決まっていません。今後はプロモーション活動で香港、中国などを回る予定。その中で、なにかアイデアがあれば、ふたりで考えていきます」
ヴァネス「Yep!(そうだね!) しばらくは、いろんな国でのプロモーション活動を続けます。それ以外では、お互いにスケジュールが詰まっているので、その中で何ができるかを検討しているところ。9月のコンサートについては、ぜひ実現できるよう調整中です」
●コンサートについて
ヴァネスさんの今回のコンサートで、自分のアイデアを取り入れたところは?
ヴァネス「全部、自分の意見が入っています。ステージデザインから、登場のし方、背景…背景はニューヨークのストリートにいるような感じを出したかったので、大道具から小道具、階段の向きまで考えました。照明についても、香港の製作会社と8時間ほどミーティングをしました。スモークはいつ出すかとか、この歌のライティングはこんな色にしたいとか…。彼らの仕事ぶりは素晴らしかったです。皆すごくプロフェッショナルで、ステージに出たら、照明は軍隊の指揮みたいに完璧。感動しました」
カンタ&ヴァネスで『Scandal』のコンサートをやるとしたら、どんな演出にしますか?
カンタ「カンタ&ヴァネスでやる場合は、別々の人間がやるのでバランスを合わせないといけませんが、バランスが合わないふたりが一緒に歌うようなコンサートにしたいです。ヴァネスはヴァネスのステージ、カンタはカンタのステージ、そしてカンタ&ヴァネスのステージ、と3つの魅力が出せるコンサートにしたいです」
ここで合同インタビューは終了。ふたりとも「オツカレサマデシタ」と日本語で挨拶して、次の撮影場所へ向かいました。元気よく答えるカンタに比べ、さすがにコンサートの疲れが出たのか、ヴァネスの声や様子にはやや弱々しさが。通訳の合間には、目の前にある録音機材を眺めたり、誰かの携帯音に反応したり。また取材部屋の冷房が香港のホテル並みに寒かったので、途中でホットコーヒーをもらっていました。
その後も、アジアの各地で快進撃を続けているカンタ&ヴァネス。このユニットの成功は、その他のアーティストたちにも新たな刺激を与えているようです。新しいアジアのコラボレーションがどんなマジックを生み出していくか、これからの展開が楽しみです。
(取材:アジコ 撮影:渡辺綾子)
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