対照的な二人だが同じ目的のために協力していく…
(c)2006 Showbox & Pop Corn Film.
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●法を犯すことでしか正義を貫けないという結末にやりきれなさを感じたのですが。
監督「結末については、韓国でもいろんな意見が出ました。私の考えを一言で表すなら、嘘をつきたくなかった、ということです。私は韓国人ですが、私の目から見ても韓国社会では法や正義が充分に守られていないというのが、残念ながら現実なのです。法を守るために一生懸命闘争したり、傷を負ったり、挫折したり…そういう人たちの姿もたくさん見てきました。彼らの声を代弁したいと思い、あのような結末にしたのです。
オ・ジヌ検事は重要な手がかりを得たにもかかわらず、何も手を出せない状況になっていました。もはや暴力でしか解決できない立場に追い込まれていたのです。これだと暴力には暴力しか残らないことになりますが、どうしてこのような状況になってしまったのか? 何が彼らをそうさせたのか? 何が彼らを野獣にしてしまったのか? そういう問いかけを最後に残したいと思いました」
(c)2006 Showbox & Pop Corn Film.
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ジテ「この映画には人間の持っている感情がたくさん描かれています。人間ドラマが生きていて、家族愛や、ボディ映画と呼ぶようなアクションも盛り込まれています。あの結末については、お決まりの形ではなく何か新しい形で枠を壊せた感じがしています。そういう意味で、あの結末にはとても愛着を持っています。オ・ジヌという男は法や正義を守ろうとする、まさに法の番人のような人物だったのですが、彼も結局は自分の欲望のために暴走し、最後は破滅に追い込まれるという設定になっていました。なので、彼が最後にガンジンに対して言う言葉『すべてを手にして、どんな気分だ?』というセリフも大変気に入っています。結末についていろんな論争が起きていることは知っていますが、それは気分のいいことです。ただ、もう少し長く撮っていたのですが編集で短くなっていて、それだけがちょっと残念です」
司会「川井さんはどんな感想をお持ちですか?」
川井「僕もエンディングに関しては、ある意味すごく感動したんですね。というのは、もしも自分がオ・ジヌの立場だったら、同じことができるのか? そんな勇気があるのか?…そういうことを感じました。あのエンディングは非常に好きです」
●一番苦労したところや役作りで大変だった点は?
ジテ「どんな映画にも苦労は付き物で、今回も毎カットごとに苦労の連続でした。今回は背広をどう着るかで悩みました。どんな役にでも、そのキャラクターにあった衣装があります。それで、どのくらいの体重にするかということなんですが、今回はオ・ジヌ検事の衣装に合わせるためにかなり苦労しました」
司会「最初は太らせようと思ったのに、10キロ痩せさせたんですよね? どうしてそのような役作りになさったんですか?」
ジテ「韓国では数え歳なので私は30歳なんですが、日本だと満29歳になります。しかし、この映画の役は、30代半ばから40代初めの設定でした。私とクォン・サンウさんは同じ歳なんですが、映画では検事の方が刑事より年上で重厚な感じがありました。その雰囲気を出すために、中年太りのイメージで体重を10キロ増やして撮影にのぞみ、いろいろ捜査をしていく中で、体でやつれた部分を表現するために、少しずつ体重を落としていくつもりだったのです。
…実は、中年太りの体型に見せたかったのですが、ただ太っているようにしか見えなかったので、慌てて一生懸命体重を落としました(笑)」(会場笑)
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